AI概要
【事案の概要】 建物損害調査事業及びコンサルティング事業等を営む原告(株式会社グラナーク)が、同業者である被告会社(株式会社イヅミ企画)の代表取締役である被告Aに対し、損害賠償を求めた事案である。被告Aは、令和元年9月21日、インターネット上のブログに「A的怪しい業者3選」と題する記事を投稿し、原告の社名やホームページのスクリーンショットを掲載した上で、原告が顧客の保険金から複数社で利益を分け合い「余ったカネ」で「粗末な工事」を行う「怪しい業者」であるなどと記載した。さらに被告らはTwitter上で「#詐欺」等のハッシュタグを付けて同記事のURLを紹介した。原告は、これが不正競争防止法2条1項21号(信用毀損行為)及び不法行為に当たるとして、被告Aに対しては民法709条又は不競法4条、被告会社に対しては会社法350条又は不競法4条に基づき、連帯して1111万円の損害賠償を請求した。 【争点】 (1) 被告らの損害賠償責任の成否(不競法2条1項21号該当性・不法行為該当性)。被告らは、本件記事は被告Aの主観的心情の吐露にすぎず、原告のみを特定した評価ではないと反論した。 (2) 原告の損害の有無及び額。原告は不競法5条2項に基づき被告会社の粗利益1111万円を損害額と主張し、被告らはブログのアクセス数がわずか566回であることなどから損害は存在しないと反論した。 【判旨】 裁判所は、本件記事が原告の社名・スクリーンショットを掲載して「怪しい業者」の一つとして特定していることは明らかであり、記載内容は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布に当たると認定した。被告らは記事内容が真実であることを何ら主張立証せず、訴訟前の和解交渉でも虚偽であることを特に争わず自ら記事を削除していた。したがって、本件行為は不競法2条1項21号の不正競争行為及び不法行為に該当し、被告らは連帯して損害を賠償する責任を負うと判断した。損害額については、被告会社の掲載期間中の粗利益を約1111万円と認定しつつ、本件行為と関係のない事業による利益も含まれること、記事のアクセス数が566回と少数であったこと等の諸般の事情を考慮し、粗利益の5%に相当する55万円を相当な損害額と認定した(請求額の約5%のみ認容)。