不正競争防止法に基づく差止・損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 卵子等のガラス化凍結保存・加温融解に用いる医療関連器具を販売する控訴人(北里コーポレーション)が、同種の医療関連器具を販売する被控訴人(リプロライフ)に対し、被控訴人のウェブサイトやカタログに記載された「解凍後100%生存」「100% survival」等の表示が、不正競争防止法2条1項20号(品質誤認表示)の不正競争に該当すると主張して、表示の差止め及び損害賠償(3億円)を求めた事案の控訴審である。原審(東京地裁)は控訴人の請求を全部棄却したため、控訴人が控訴を提起するとともに、損害賠償請求を拡張した。 【争点】 (1) 被告広告の「生存率100%」等の表示が品質誤認表示(法2条1項20号)に該当するか(需要者の範囲、表示の意味内容、100%の生存率達成の可否)、(2) 控訴人の営業上の利益侵害の有無、(3) 被控訴人の故意・過失の有無、(4) 損害額(法5条2項に基づく推定と覆滅の範囲)が主な争点となった。 【判旨】 一部認容・一部棄却(原判決変更)。裁判所は、被告広告の需要者は不妊治療施設及び医療関係者であると認定した上で、医療関係者は本件各表示を「プロトコールを遵守して正常な卵子等を凍結保存した場合、融解後の生存率は100%になる」という意味に認識すると判断した。そして、被控訴人の技術講習会に参加し認定を受けた医療関係者による複数の研究報告・論文において、クライオテック法を用いても生存率が96〜98%にとどまる結果が示されていることから、実際には100%の生存率は達成できるとは限らないと認定し、本件各表示は品質誤認表示に該当すると判断した。特に、被控訴人の技術講習会における生存判定は融解後5分間の観察によるもので、臨床現場で一般的に承認されている2〜4時間の回復培養後の判定方法とは異なると指摘した。損害額については、法5条2項により被控訴人の利益額約7億6900万円を基礎としつつ、被告広告の販売貢献度が小さいこと等を考慮し95%の推定覆滅を認め、弁護士費用500万円を加えた合計4346万8397円の損害賠償及び表示の差止めを命じた。