発信者情報開示等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2ネ2845
- 事件名
- 発信者情報開示等請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2021年4月8日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 定塚誠、佐藤重憲、須賀康太郎
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 氏名不詳者が、ツイッター上で被控訴人に成りすまし、俗悪なユーザ名でアカウントを登録した上、被控訴人の顔写真を添付して投稿を行った。被控訴人は、肖像権及び名誉感情が侵害されたとして、当該発信者に対する損害賠償請求権を行使するために必要であるとして、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、開示関係役務提供者である控訴人に対し、発信者の氏名、SMTP方式による電子メールアドレス及びSMS方式による電子メールアドレスの開示を求めた。原審は、SMS方式による電子メールアドレスの開示請求のみを認容し、その余を棄却したところ、控訴人が控訴した。 【争点】 SMS方式による電子メールに係る電子メールアドレス(電話番号と同一の数字の列)が、プロバイダ責任制限法の省令(本省令)3号の「電子メールアドレス」に含まれるか否か。控訴人は、本省令制定当時の解釈として、SMS方式の電子メールアドレスは「電子メールアドレス」に含まれないと解するのが相当であり、制定以来文言が改正されていないことから、現時点でも同様に解すべきであると主張した。 【判旨】 控訴棄却。本省令制定に際してのパブリックコメントにおける回答等によれば、立案者は、特定電気通信役務提供者が発信者の電話番号を保有している場合には通常住所や氏名も保有しているとの認識の下、電話番号を発信者情報開示請求の対象から除外したものであり、SMS方式の電子メールアドレスが発信者特定のための唯一の情報であるような本件のような場合まで念頭に置いて、電話番号と同一の数字の列であることを理由に開示対象に含む解釈を許さないことまで意図していたとはいえない。また、特定電子メール法等の制定以降、「電子メール」や「電子メールアドレス」という法令用語について体系的な構造が構築されており、本省令もこれと整合的に解釈すべきである。本省令の「電子メール」には文言上何らの限定が付されておらず、特定電子メール法等がSMS方式による電子メールの利用実態を踏まえてこれを対象に加えた趣旨は本省令にも当てはまることから、SMS方式による電子メールアドレスは本省令3号の「電子メールアドレス」に含まれる。したがって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。