再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30し76
- 事件名
- 再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 裁判年月日
- 2021年4月21日
- 裁判種別・結果
- 決定・棄却
- 裁判官
- 小池裕、池上政幸、木澤克之、山口厚、深山卓也
- 原審裁判所
- 福岡高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 平成4年2月、福岡県飯塚市内で登校中の小学1年生女児2名が略取・誘拐され、殺害された上、遺体を山中に遺棄されたという事件(飯塚事件)に関する再審請求の特別抗告審である。確定判決は、①目撃者の供述から犯行使用車両が事件本人(被告人)の所有車と特徴が一致すること、②被害者の着衣から事件本人車のシート繊維片と同種の繊維片が発見されたこと、③事件本人車の後部座席から被害者と同じ血液型の血痕・尿痕が検出されたこと、④科学警察研究所のDNA型鑑定(MCT118型鑑定等)で犯人由来の血液等の型が事件本人と一致したこと、⑤事件本人が亀頭包皮炎に罹患し容易に出血する状態にあったこと、⑥犯行時間帯にアリバイが成立しないことなどの情況証拠を総合して、事件本人を死刑に処した。確定判決後、事件本人の妻である申立人が再審を請求した。 【争点】 再審請求における争点は、新証拠が確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生じさせるか否かである。申立人側は、第一に、目撃者S1の供述について心理学教授の鑑定書等により信用性が否定されると主張した。第二に、MCT118型鑑定について、筑波大学本田教授の鑑定書等により、塩基配列の反復回数の測定方法が改善された結果、事件本人の正確な型と犯人の型が一致するとはいえなくなったと主張した。さらに、HLADQα型鑑定等の旧証拠についても、MCT118型鑑定の証明力が減殺されたことに伴い再評価すべきであり、再評価の結果、事件本人は犯人ではないといえると主張した。 【判旨(量刑)】 最高裁第一小法廷は、裁判官全員一致で特別抗告を棄却した。まず、MCT118型鑑定の証明力減殺は同鑑定の手法改善によるものであるのに対し、HLADQα型鑑定やミトコンドリアDNA型鑑定等の証明力は鑑定資料のDNA量や状態の不良、鑑定自体の特性等に基づいて評価されるべきものであり、MCT118型鑑定の証明力減殺がこれらの鑑定の証明力評価を左右する関係にはないとして、再評価は不要と判断した。また、科警研の血液型鑑定及びMCT118型鑑定の手法が科学的に誤っているとの主張についても、原々決定の信用性評価を是認した原決定に誤りはないとした。さらに、新証拠によっても目撃供述の信用性は否定されず、MCT118型の一致を除いたその余の情況事実を総合しても、事件本人が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がされているとして、再審開始を認めなかった。