特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「マッサージ具」とする特許権(特許第5851923号)を有する原告(インテンション株式会社)が、被告イノベーション及び被告CS60に対し、被告らが製造・使用する「CS60」(Cell Smooth 60trillion)と称するマッサージ具が本件特許の請求項1の技術的範囲に属すると主張して、特許法100条1項及び2項に基づく差止め・廃棄、並びに民法709条に基づく損害賠償金1億0549万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。 本件特許に係る発明は、導電性の材料からなるブロック状の外体の内部に、導電性線材の巻回体、強磁性材料の棒体、下方磁石体等を配置したマッサージ具に関するものであり、磁力を効率よく人体に作用させて血行促進やコリ・痛みの改善を図ることを目的としている。被告製品は、胴体と延出体が別体で螺合可能に構成され、外側に絶縁体のコーティングが施されたマッサージ具であり、内部に磁石やコイルばね等を備えている。 【争点】 主な争点は、被告製品が本件発明の構成要件を充足するか否かであり、具体的には、(1)「導電性の材料からなり」(構成要件A)の充足性、(2)「ブロック状の外体」(構成要件A等)の充足性、(3)「穴状の収納穴」(構成要件B等)の充足性、(4)「巻回体の中心に配置」(構成要件D)の充足性、(5)「強磁性の材料からなる」(構成要件D)の充足性、(6)「棒体」(構成要件D等)の充足性、(7)導電体の配置(構成要件F)の充足性、(8)下方固定体の取付位置(構成要件H)の充足性の8点が争われた。また、損害額も争点とされた。 【判旨】 裁判所は、構成要件Aの「導電性の材料からなり」及び構成要件Dの「強磁性の材料からなる」の充足性について判断し、いずれも充足しないと結論づけた。 構成要件Aについて、裁判所は「…からなる」という用語の通常の使用方法に照らし、外体の全体が導電性の材料から構成されることを意味すると解するのが自然であるとした。本件発明の課題・効果との関係でもこの解釈と異なる解釈を採用する根拠はなく、明細書にも外体が導電性材料と異なる材料を含むことを示唆する記載はないとした。被告製品は外側部分に絶縁体のコーティング材料を備えるため、外体全体が導電性の材料から構成されるとはいえず、構成要件Aを充足しないと判断した。 構成要件Dについても同様に、「強磁性の材料からなる」とは棒体の全体が強磁性の材料から構成されることを意味するとし、被告製品の電子部品は先端のみに強磁性体を備えるものであってその全体が強磁性の材料から構成されるものではないとして、構成要件Dを充足しないと判断した。 以上から、被告製品は構成要件A及びDを充足せず、他の構成要件の充足性を判断するまでもなく本件発明の技術的範囲に属さないとして、原告の請求をいずれも棄却した。