AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和2年1月頃から被害者(当時33歳)と交際を開始し、同年3月頃からは被害者及びその子と3人で同居生活を送っていた。被告人は被害者の自分に対する態度や接し方に不満を抱いていたところ、同年11月12日にけんかとなり被害者から会話に応じてもらえなくなった。同月14日夜、被害者の携帯電話機に他の男性との親密なメッセージが表示されたことや、被害者の態度等に怒りを募らせ、被害者と別れるくらいなら殺害して独占することを考えるようになった。同日午後10時56分頃、交際をうかがわせるメッセージを再度目撃して殺害を決意し、北海道江別市の被害者方において、眠っていた被害者の頸部に腕を巻き付けて複数回絞め付けるなどの暴行を加え、頸部圧迫による窒息により殺害した。被告人は犯行後に自殺を図ったが未遂に終わり、翌朝119番通報をして自ら犯行を申告した。なお、被告人には交際相手に対する脅迫罪による罰金前科がある。 【判旨(量刑)】 裁判所は、まず自首の成否について、119番通報時点までに捜査機関が得ていた情報は全て被告人自身の通報に基づくものであり、通報時に自己の犯罪を申告する意識があったことは否定できないこと、通報による捜査への貢献が大きいことから、法律上の自首が成立すると判断した。量刑判断においては、被害者が他の男性と親密なやり取りをしていたことへの怒りや、成育歴等の影響による女性への強い独占欲には理解できる部分もあるとしつつ、命を奪って独占するという考えはゆがんだ支配欲であり身勝手であること、話し合いの機会を持つこともなく短絡的に殺害を決意したことから、強い非難に値し酌量の余地は少ないとした。犯行態様については、凶器を用いていないものの強固な殺意がうかがわれること、被害者が我が子の成長を見届ける機会を奪われた無念は計り知れないこと、さらに死後に姦淫され尊厳を著しく傷付けられたことを指摘した。これらの犯情を踏まえ、本件は男女関係を動機とする殺人の単独犯1件という事案の中で重い部類に位置付けられるとした。一方、被告人が事実を認め謝罪の言葉を述べていること、自首していること、妹や元雇用主が社会復帰後の支援意向を示していることなどの一般情状を考慮し、求刑懲役20年に対し、懲役18年を言い渡した。