AI概要
【事案の概要】 被告人は、A株式会社B郵便局の総務部会計担当課長として、同郵便局の会計事務の総括、現金出納、資産管理等の業務に従事していた者である。被告人は、同郵便局で郵便料金として収納された郵便切手を業務上預かり保管中、これを大量に持ち出して換金し、交際相手との関係維持のための出費など個人的な使途に費消していた。 具体的には、平成27年5月頃から平成29年4月頃までの約1年10か月の間に、合計164回にわたり、東京都葛飾区内の店舗で収納済み郵便切手を売却して横領した。第1の犯行では約178万枚(額面合計約8485万円)、第2の犯行では約196万枚(額面合計約9176万円)の切手を売却しており、被害総額は枚数にして370万枚超、額面合計約1億7600万円に上る。 なお、同郵便局では、内部ルールに反し、収納済み切手について本来なされるべき消印処理等がなされない場合があるという特殊な運用が常態化しており、被告人はこうした運用に乗じる形で犯行を繰り返していた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役3年の実刑に処した(求刑懲役5年)。未決勾留日数中30日がその刑に算入された。 量刑の理由として、裁判所は以下の点を指摘した。被告人は会計事務を総括する責任者の立場にありながら、郵便局内の特殊な運用に乗じて約1年10か月にわたり合計164回も着服を繰り返しており、被害額は額面合計約1億7600万円に上ること、常習性も甚だ顕著であることから、厳しい非難に値するとした。被告人が約1億7000万円分の弁償を遂げ、さらに200万円の追加弁償を申し入れている点は十分考慮する必要があるとしつつも、犯情の悪質さに照らすと実刑を免れないと判断した。 他方、被告人に前科がないこと、謝罪・反省の態度を示そうとしていること、妻が今後の監督を誓約していることなどの事情も踏まえ、主文の刑を定めた。