発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 写真業を営む原告会社は、職業写真家である代表者が撮影した俳優・タレント等の著名人のポートレート写真を、自社ウェブサイトの「YOUR EYES ONLY」と題するコーナーに掲載・公開していた。ところが、レンタルサーバー事業者である被告のサービスを利用して開設された複数のウェブサイト(いわゆるまとめサイト等)に、原告の写真画像が無断で掲載された。各サイトの投稿者は、著名人のプロフィールやゴシップ等の記事中に、原告の写真を出典の明示もなく掲載していた。原告は、投稿者に対する著作権侵害に基づく損害賠償請求を行うため、プロバイダ責任制限法(法4条1項)に基づき、被告に対して発信者情報の開示を求めた。 【争点】 1. 権利侵害の明白性:原告写真の著作物性・著作権の帰属と、被告が主張する著作権法32条1項の「引用」の成否 2. 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無:原告が著作権保護の表示なく写真を公開していたことから、経済的損失が不明であるとの被告の反論 【判旨】 請求認容。裁判所は、原告写真について、被写体の構図やポージング、撮影角度、光線との関係等に原告代表者の個性が表れており、写真の著作物に当たると認定した。 引用(著作権法32条1項)の成否について、裁判所は、引用とは公表された他人の著作物を自己の作品中に採録する行為であり、報道・批評・研究等の目的のための利用関係が必要であると判示した。その上で、各投稿記事には原告写真について説明・論評する記載が一切なく、原告写真を参照して何かを説明するという関係も存在しないと認定し、投稿者はサイトの閲覧者を増やす目的で原告写真と記事を共に展示しているに過ぎず、引用には当たらないと判断した。被告が主張した「読者の理解を助ける目的」や著作権保護表示の不存在も、引用の成立を基礎づけるものではないとして排斥した。 正当な理由についても、原告はライセンス料を受けて写真の利用を許諾している実績があり、「YOUR EYES ONLY」の趣旨からも自由利用を許容するものではないとして、経済的損失の発生を認め、開示の正当な理由があると結論づけた。