AI概要
【事案の概要】 本件は、通信ネットワークにおけるコントロールチャネルのアロケーション及びデコーディングに関する特許(特許第5355765号)について、特許無効審判において全請求項を無効とする審決がされたため、特許権者である原告(ソニー株式会社の関連会社)が審決の取消しを求めた事案である。 本件特許は、もともとノキア・シーメンス・ネットワークスが出願し、原告に譲渡されたもので、3GPP LTEネットワークシステムにおけるコントロールチャネルに関する発明である。被告(ワイヤレス フューチャー テクノロジーズ インコーポレイテッド)が特許無効審判を請求し、特許庁は、原告による訂正請求を認めないとした上で、特許法36条6項1号・2号(サポート要件・明確性要件)又は同条4項1号(実施可能要件)を満たしていないとして、全16請求項に係る特許を無効とする審決をした。原告は、審決が訂正請求を認めなかった判断に誤りがあると主張して、審決の取消しを求めた。 【争点】 本件の争点は、原告が行った訂正請求(訂正事項1ないし3、20ないし23、24ないし27等)が訂正要件を満たすか否かである。具体的には、(1)訂正事項が新規事項の追加に当たるか(特許法126条5項)、(2)訂正事項が実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものに当たるか(同条6項)が争われた。原告は、訂正事項に係る技術的事項は本件明細書の図4や段落【0025】〜【0027】、【0035】、【0038】等に開示されており新規事項には当たらないこと、及び訂正は特許請求の範囲の減縮に該当し拡張・変更には当たらないことを主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず新規事項の点については、本件明細書の図4の実施例における各集合レベルのコントロールチャネル候補の割合を詳細に検討し、訂正事項2及び3に係る技術的事項は明細書及び図面の記載から導かれる技術的事項であり、新規事項の追加には当たらないと判断した。しかし、特許請求の範囲の拡張・変更の点については、訂正前の請求項1にはなかった「使用可能なコントロールチャネル候補」の概念を追加し、ツリー構造のより低いレベルほどアロケーションに使用可能な候補の割合を大きくするとの事項を発明特定事項に含めることになり、これは課題を解決する発明の構成そのものに関する事項であるから、単なる条件付けにとどまらず、特許請求の範囲を実質上変更するものであると認定した。この判断は請求項8〜10、請求項11〜13の各一群の請求項にも同様に当てはまるとし、本件訂正の請求を認めなかった審決の判断は結論において相当であるとして、原告の請求を棄却した。