AI概要
【事案の概要】 本件は、被包型側溝(コンクリート製の道路用側溝)に関する特許権(特許第3718279号)を有していた原告が、被告に対し、被告の製造・販売する「消音側溝(消音可変側溝)」が原告の特許権を侵害すること、及び不正競争防止法2条1項1号の混同惹起行為に当たることを主張して、製造等の差止め・型枠の廃棄・謝罪広告の掲載、並びに損害賠償約7897万円の支払を求めた事案である。 原告は有限会社リタッグの代表取締役であり、「リボーン側溝」の商標権・意匠権等を有し、全国リボーン側溝工業会の加盟企業に製造・販売を許諾していた。本件特許は、側溝蓋の断面凸状の曲面からなる当接部と、側溝本体の断面凹状の曲面からなる支持面を略相似の関係とし、支持面の下端にせぎり部を設けることで、ガタツキや騒音の発生を抑制する構造に関するものである。なお、本件特許権は平成28年3月に存続期間満了により消滅済みであった。 【争点】 主な争点は、(1)各被告製品が本件発明の構成要件「略相似」(B2)を充足するか、(2)構成要件「せぎり部」(B3)を充足するか、(3)ホ号物件が「略中央」(B1)を充足するか、(4)ヘ号物件等が「被包型側溝」(C)を充足するか、(5)本件特許の無効理由の有無、(6)不正競争防止法上の混同惹起行為の成否である。被告は、被告製品の側溝蓋には回転防止用の突起が存在し、側溝本体の切欠きはこの突起と係合するためのものであって、本件発明のせぎり部とは目的・構造が異なると主張した。 【判旨】 裁判所は、構成要件B2の「略相似」については、数学的に厳密な相似に限定されず、曲面の形状がおおまかに類似していれば充足すると解釈し、被告製品はこれを充足すると認定した。しかし、構成要件B3の「せぎり部」については、せぎり部は支持面の下端の形状を変更して当接部の下端部との間に隙間を設けるものであるところ、被告製品の隙間は側溝蓋の突起及び底部に対応して存在し、断面凸状の曲面からなる当接部の下端部には対応していないこと、また斜面の段差を設ける目的が突起と係合させて回転を防止することにあることから、せぎり部の充足を否定した。さらに、ホ号物件は開口部が略中央にないとしてB1の充足を否定し、ヘ号物件等はU字型側溝であるとしてCの充足を否定した。 不正競争防止法に基づく請求についても、原告製品の形態は側溝として一般的な構成に属するものであり、形態自体に需要者が出所を認識するような特別顕著性は認められず、商品等表示には当たらないとして退けた。以上により、原告の請求はいずれも棄却された。