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下級裁

労働者災害補償不支給決定取消請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ウ2
事件名
労働者災害補償不支給決定取消請求事件
裁判所
札幌地方裁判所
裁判年月日
2021年5月13日
裁判官
間明宏充豊富育間明宏充

AI概要

【事案の概要】 原告は、平成23年3月の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の災害復旧作業(がれき撤去等)に約4か月間従事した。その後、膀胱がん(平成24年6月確定診断)、胃がん(平成25年3月)、S状結腸がん(同年5月)を相次いで発症し、これらが放射線被ばくに起因するとして、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を請求した。しかし、労働基準監督署長はいずれも不支給決定とし、審査請求・再審査請求も棄却されたため、原告がこれら不支給処分の取消しを求めて提訴した。原告の累積被ばく線量は56.41ミリシーベルトであり、厚生労働省が示す「当面の労災補償の考え方」における目安の100ミリシーベルトを下回っていた。また、被ばくから発症までの期間は約11か月から約1年10か月であり、固形がんの最小潜伏期間とされる5年を大幅に下回っていた。 【争点】 本件の中心的争点は、原告の膀胱がん・胃がん・S状結腸がんの発症に本件業務による放射線被ばくとの業務起因性が認められるか否かである。具体的には、(1)業務起因性の判断枠組みとして「当面の労災補償の考え方」に依拠すべきか、(2)100ミリシーベルト未満の低線量被ばくでもがん発症リスクの上昇が認められるか(LNTモデルの評価)、(3)被ばくから5年未満でのがん発症に放射線起因性を認め得るか(潜伏期間の評価)、(4)原告の実際の被ばく線量が記録値を上回るか(個人線量計の正確性、内部被ばくの評価)、(5)喫煙・飲酒等の他のリスクファクターとの関係が争われた。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。判断枠組みについては、厚生労働省の「当面の労災補償の考え方」が示す3項目(被ばく線量、潜伏期間、リスクファクター)による総合判断が合理的であるとした。被ばく線量については、100ミリシーベルト未満であるという理由だけでがん発症との関連性を否定することは相当でないとしつつも、LNTモデルに従ったとしても56.42ミリシーベルトの相対リスクは1.028倍にとどまり、喫煙(4.30倍)や飲酒(1.6〜2.0倍)よりも大幅に低いと認定した。潜伏期間については、放射線被ばく後5年を大きく下回る期間でがんが発症し得るとの確立した医学的知見は認められないとした。リスクファクターについては、原告に喫煙歴及び飲酒歴があり、これらのリスクの方が放射線被ばくによるリスクよりも相当程度大きいことを指摘した。以上を総合し、3つの検討項目のいずれからみても業務起因性を認めるべき事情は見当たらず、本件各処分は適法であると結論づけた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。