損害賠償請求事件(住民訴訟)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、大阪府泉北郡E町の住民である原告が、E町が所有する粗大ごみ破砕施設の更新工事(請負代金額1億3500万円)について、E町がF・B共同企業体との間で随意契約の方法により締結した工事請負契約は、地方自治法施行令167条の2第1項2号所定の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当しない違法かつ無効な随意契約であると主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、E町の執行機関である被告(町長)に対し、共同企業体の構成員であるA社及びB社に対する不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求、並びに契約締結当時の町長C及び町職員Dに対する不法行為に基づく損害賠償請求をそれぞれ行うよう求めた住民訴訟である。 E町の粗大ごみ破砕施設は昭和63年に新設されたもので、老朽化が著しかったところ、平成27年3月に切断機の配電盤及び破砕機の制御盤の不具合等により全面的に運転停止となった。これにより粗大ごみの破砕処理が不可能となり、敷地内に粗大ごみが山積みになる事態が生じた。E町は応急的に外部業者に重機による粗切断を委託しつつ、施設全体の更新工事を計画し、長年にわたり同施設の運転管理を受託してきた共同企業体との間で随意契約を締結した。 【争点】 主な争点は、(1)本件契約が地方自治法234条2項・同施行令167条の2第1項2号に違反する違法な随意契約であるか、(2)随意契約理由書の添付漏れ、見積書の一者のみからの徴取、予定価格調書の不作成等の手続的違法の有無、(3)町議会議員の除斥規定(地方自治法117条)違反の有無、(4)本件契約が無効であるか、(5)関係者の不法行為責任の有無である。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。 争点(1)について、最高裁昭和62年判決の枠組みに依拠し、随意契約によることが許容されるのは、当該契約の目的・内容に照らし相応する資力・信用・技術・経験等を有する相手方を選定して契約する方法が当該契約の性質に照らし又はその目的を達成する上でより妥当であり、当該地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合も含まれるとした。その上で、本件では、破砕施設がごみ焼却業務に不可欠な公共性の高い施設であり早期復旧の必要性・緊急性が高かったこと、競争入札の場合は随意契約と比較して約5〜6か月余分に期間を要する見込みであったこと、共同企業体が長年にわたり同施設の運転管理等を行い既存設備に精通していたこと、施工後の運転管理・保守管理における責任分岐の問題を回避できること等を考慮し、町長が随意契約の方法を選択した判断には相応の合理性があったと認定した。 争点(2)については、随意契約理由書の添付漏れは決裁手続上の重大な瑕疵とはいえず、見積書を一者からのみ徴取した点もコンサルタント会社による見積書審査を経ていたことから裁量権の逸脱・濫用とはいえず、予定価格調書の不作成についても見積書審査報告書の金額をもって実質的に予定価格を定めていたと評価できるとして、いずれも違法とはいえないとした。争点(3)の議員除斥規定違反についても、議員の三男がB社において常時支配力を有する地位にあったとは認められないとして否定した。以上から、本件契約は違法かつ無効であるとはいえず、不当利得返還義務及び不法行為責任もいずれも認められないと結論づけた。