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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
令和2行ケ10015
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2021年5月17日
裁判官
鶴岡稔彦上田卓哉都野道紀

AI概要

【事案の概要】 本件は、肺炎球菌ワクチンの製剤に関する特許(特許第6192115号)をめぐる審決取消請求事件である。被告(ワイス・エルエルシー)は、「免疫原性組成物を安定化させ、沈殿を阻害する新規製剤」と題する特許の特許権者であり、13種類の肺炎球菌多糖類をCRM197タンパク質にコンジュゲート(結合)させた製剤を、シリコーン処理された容器に入れた際に生じる凝集(沈殿)を、pH緩衝塩溶液とアルミニウム塩の配合により阻害する技術を発明の内容としていた。原告(メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション)は、本件特許の全請求項について無効審判を請求したが、特許庁は請求不成立の審決をした。原告は、本件発明は既に上市されていた7価の肺炎球菌ワクチン(プレベナー)等から容易に発明できたものであるとして、審決の取消しを求めた。 【争点】 主な争点は、(1)公知の7価ワクチンとの相違点のうち、7価を13価に拡張する構成(相違点1)が容易想到か、(2)シリコーン誘発凝集を阻害するという構成(相違点4)が容易想到か、の2点であった。原告は、13価への拡張は開発の自然な流れであり、シリコーン誘発凝集の阻害もアルミニウム塩アジュバントの周知の作用にすぎないと主張した。被告は、単一のキャリアタンパク質(CRM197)の採用には免疫干渉の懸念から阻害要因があり、またシリコーン誘発凝集という課題自体が新規であったと反論した。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。まず相違点1について、裁判所は、11価の肺炎球菌CRMコンジュゲートワクチンが開発中であることは公知であり、これに2種の血清型を追加して13価とすることに特段の困難はなかったとして、審決とは異なり容易想到であると判断した。被告が主張する免疫干渉の懸念についても、製剤化の検討は有効性の検討とは別になされ得るとして、阻害要因には当たらないとした。しかし相違点4について、裁判所は、本件発明の技術的意義が、アルミニウム塩と肺炎球菌コンジュゲートの結合により遊離コンジュゲート量が減少し、シリコーン誘発凝集が阻害されるという点にあることを詳細に分析した上で、当業者がこの課題を認識することは容易でなく、公知発明からは製剤中の遊離コンジュゲートの存在すら予測できないとして、容易想到性を否定した。結論として、相違点4が容易想到でないとした審決の判断に誤りはないとし、本件特許の進歩性を肯定した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。