商標権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、男性用下着ブランド「2UNDR」の商標権者である控訴人ハリス(米国法人)及び同商標の独占的通常使用権者である控訴人アイインザスカイが、被控訴人ブライトによる被告各標章が付された男性用下着の輸入・販売等が商標権を侵害するとして、商標法36条1項・2項に基づく差止め・廃棄、及び民法709条・719条1項・商標法38条2項に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審である。 控訴人ハリスのライセンシーであるランピョン社は、シンガポールのMゴルフ社を販売代理店として商品を販売していたが、同代理店契約が解除された後、Mゴルフ社が保有していた在庫商品を被控訴人ブライトが購入・輸入した。控訴人らは、代理店契約解除後の販売であること及び販売地域制限条項への違反を理由に、いわゆる真正商品の並行輸入としての違法性阻却が認められないと主張した。原審(東京地裁)は控訴人らの請求をいずれも棄却し、控訴人らが控訴した。 【争点】 主な争点は、被控訴人ブライトの輸入行為が真正商品の並行輸入として商標権侵害の実質的違法性を欠くか否かであり、最高裁平成15年判決が示した3要件に即して、(1)第1要件(商標が商標権者等により適法に付されたか)について、代理店契約解除後の販売や販売地域制限条項違反が要件充足を否定する事情となるか、(2)第3要件(品質保証機能が害されていないか)について、販売地域制限条項違反、パッケージの汚損、アフターサービスの不存在が品質保証機能を害するかが争われた。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。 第1要件について、裁判所は、最高裁平成15年判決の事案が商標の使用許諾権者による製造事案であったのに対し、本件は商標権者自身が商品を製造した事案であるという違いを指摘しつつ、仮に「適法に流通に置かれたこと」を要件に加えて理解するとしても、Mゴルフ社はランピョン社から正規に商品を購入しており、その時点で商品が適法に流通に置かれたことは明らかであるとした。代理店契約の解除によってもMゴルフ社の商品処分権限は失われず、契約解除後の売却はランピョン社との間で債務不履行の問題を生じさせるにとどまり、「適法に流通に置かれた」との評価を覆すものではないとした。販売地域制限条項違反についても同様に、同条項は債権的効力を有するにすぎず、処分権限を奪うものではないとして、第1要件の充足を認めた。 第3要件について、商標権者自身が製造した商品であり、男性用下着という商品の性質上、常識的な期間内の流通で経年劣化のおそれはなく、パッケージ等もそのまま維持されていることから、品質保証機能は害されていないとした。パッケージの汚れやシール剥がし跡も商品自体の品質とは無関係であり、「訳あり」表示も品質への疑念を生じさせるものではないとした。以上により、3要件がいずれも充足されるとして、並行輸入の違法性阻却を認め、控訴を棄却した。