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下級裁

損害賠償命令等請求事件

判決データ

事件番号
令和2行ウ7
事件名
損害賠償命令等請求事件
裁判所
奈良地方裁判所
裁判年月日
2021年5月20日
裁判種別・結果
棄却
裁判官
石川理紗

AI概要

【事案の概要】 奈良県の住民である原告らが、奈良県が実施した有権者向けの政治意識アンケート調査(以下「本件アンケート」)をめぐり、奈良県知事に対する損害賠償請求を求めた住民訴訟である。奈良県は令和元年、投票率の向上等を目的として、県内の18歳以上の有権者2000人を対象に、投票行動や政治意識に関するアンケート調査を委託料715万円で外部業者に委託して実施した。本件アンケートには、参議院選挙や県知事選挙における具体的な投票先を尋ねる質問、特定の政治家(内閣総理大臣、県知事等)に対する好感度を「感情温度」として数値化して回答させる質問、回答者自身の政治的立場(革新的・保守的)を尋ねる質問、世帯年収を尋ねる質問等が含まれていた。原告らは、本件アンケートは違法であるから、その実施に係る業務委託契約の締結及び関連する謝金・旅費の支出も違法であるとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、県知事個人に対し746万5530円の損害賠償請求をするよう被告(奈良県知事)に求めた。 【争点】 (1) 本件アンケートが投票の秘密(憲法15条4項)を侵害するか。原告らは、具体的な投票先を尋ねる質問が投票の秘密を侵し、公職選挙法226条2項にも違反すると主張した。 (2) 本件アンケートが思想良心の自由(憲法19条)を侵害するか。原告らは、政治的立場を尋ねる質問がまじめな回答者に事実上回答を強いるものであると主張した。 (3) 本件アンケートが回答者のプライバシーを侵害するか。原告らは、世帯年収を尋ねる質問がプライバシー侵害に当たると主張した。 (4) 本件アンケートが行政の公平性・中立性の保持、権利濫用の禁止の原則に違反するか。原告らは、感情温度の質問は実質的に県知事の恣意的な人気調査であり、次回選挙に利用する目的があると主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、各争点について以下のとおり判断した。 (1) 投票の秘密について、本件アンケートは無記名であり、識別番号等による個人情報との紐づけもなされておらず、回答者を特定することは不可能であったから、投票の秘密の侵害には当たらないとした。 (2) 思想良心の自由について、本件アンケートには回答できない場合は無記入でよい旨の注意書きがあり、回答しないことによる不利益取扱いも予定されておらず、回収率が47.5%であったことからも回答が強制されていたとはいえないとして、侵害を否定した。 (3) プライバシーについても、回答者の特定が不可能であった以上、プライバシー侵害には当たらないとした。 (4) 行政の中立性等について、裁判所は、県が主体となって県知事の好感度を尋ねるアンケートを行うことに住民が疑義を抱くことは理解できるとしつつも、質問項目の設定に県知事の意向が反映されたとは認められないとした。感情温度の質問は政治学における投票行動モデル(ミシガン・モデル)に基づくものであり、国・県・市町村の各レベルの長への感情温度が投票参加に影響するという仮説の検証を目的としたものと認め、アンケートの目的との関連性を肯定して、違法性を否定した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。