商標権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 アメリカ合衆国に本社を置き、世界各国で化粧クリーム等を販売する原告が、「EGYPTIAN MAGIC」の登録商標(原告商標権1及び2)を有しているところ、被告(化粧品等の製造・販売を業とする株式会社)が、原告商品を日本人向けに調合し直して開発した化粧クリームやせっけんに「EGYPTIAN MAGIC」「エジプシャンマジック」等の標章を付して、楽天市場やAmazon等のインターネット通販サイトで販売していた。原告は、被告の行為が商標権侵害に当たるとして、商標法36条1項及び2項に基づく使用差止め・標章の削除等を求めるとともに、民法709条に基づき損害賠償金2000万円及び遅延損害金の支払いを求めた。 【争点】 主な争点は、(1)原告各商標と被告各標章の類否及び指定商品と被告商品の類否(商標権侵害の成否)、(2)原告代表者から原告への債権譲渡に係る債務者対抗要件の具備、(3)差止め等の必要性、(4)消滅時効の成否、(5)損害額の算定、(6)不当利得返還請求権の成否であった。特に損害額の算定では、被告が楽天市場の出店手数料等の控除を主張するための調査嘱託申立て等を行ったことが時機に後れた防御方法に当たるかが争われた。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。まず商標権侵害について、被告各標章(欧文字標章及びカタカナ標章)はいずれも原告各商標と称呼(「エジプシャンマジック」)及び観念(「エジプト人の魔法」)が同一であり、外観も類似すると認定した。被告商品も原告各商標の指定商品と同一又は類似であるとして、侵害の成立を認めた。差止め等の必要性についても、原告が訴え提起前に通告書を送付したにもかかわらず被告が回答しなかったこと等から肯定した。消滅時効の抗弁は、原告が3年以上前に損害及び加害者を知っていたことを認める証拠がないとして排斥した。損害額については、商標法38条2項に基づき、被告の売上高2759万1819円から原価率30%を控除した限界利益1931万4273円を損害額と推定し、弁護士費用200万円と合わせて合計2131万4273円と認定した。なお、被告が口頭弁論終結間際に申し立てた楽天出店手数料に関する調査嘱託及び準備書面は、被告の重大な過失による時機に後れた防御方法(民事訴訟法157条1項)として却下した。