執行判決請求,民訴法260条2項の申立て事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2受170
- 事件名
- 執行判決請求,民訴法260条2項の申立て事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2021年5月25日
- 裁判種別・結果
- 判決・その他
- 裁判官
- 戸倉三郎、宮崎裕子、宇賀克也
- 原審裁判所
- 大阪高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、米国カリフォルニア州オレンジ郡上位裁判所が言い渡した損害賠償判決について、被上告人ら(カリフォルニア州所在の会社及びその設立者ら)が、上告人に対し、民事執行法24条に基づく執行判決を求めた事案である。被上告人らは、上告人が被上告人会社のビジネスモデルや企業秘密等を領得したと主張して米国で訴えを提起し、同裁判所は、補償的損害賠償として約18万5000米ドル及び懲罰的損害賠償として9万米ドル等の支払を命じる判決(本件外国判決)を言い渡した。その後、同裁判所の強制執行手続において約13万5000米ドルの弁済(本件弁済)がされた。原審は、懲罰的損害賠償部分は民訴法118条3号の公序要件に反するものの、本件弁済は外国裁判所の強制執行手続でされたものであるから懲罰的損害賠償部分を含む債権全体に充当されたとみるべきであるとして、本件外国判決の認容額から本件弁済額を差し引いた約14万米ドルについて執行判決を認容した。 【争点】 懲罰的損害賠償部分を含む外国判決に係る債権について弁済がされた場合、その弁済を懲罰的損害賠償部分に係る債権に充当されたものとして執行判決をすることができるか。 【判旨】 最高裁は、原審の判断を破棄し、第一審判決が正当であるとした。民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償部分が含まれる外国判決に係る債権について弁済がされた場合、その弁済が外国裁判所の強制執行手続においてされたものであっても、懲罰的損害賠償部分に係る債権に充当されたものとして執行判決をすることはできないと判示した。その理由として、懲罰的損害賠償部分は我が国において効力を有しないのであるから、弁済の効力を判断するに当たり懲罰的損害賠償部分に係る債権が存在するとみることはできず、弁済が同部分に充当されることはないとした。外国裁判所の強制執行手続でされた弁済であっても別異に解すべき理由はないとした。この結果、本件弁済は補償的損害賠償部分に係る債権に充当され、その残額である約5万米ドル及び利息の支払を命じた部分に限り執行判決をすべきであるとした。本判決は、外国判決の執行における懲罰的損害賠償の取扱いについて、弁済充当の場面における重要な判断基準を示したものである。