発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 イラストレーターである原告は、筆名で活動し、平成30年6月頃にイラスト(本件著作物)を創作してツイッターに投稿していた。被告は、同人誌販売等のイベント企画・運営を行い、自己のウェブサイト上でイベント出展者の情報を提供するコンテンツプロバイダである。 氏名不詳の発信者は、令和3年3月頃、被告の管理するウェブサイトに、原告のイラストを無断で複製・改変した宣伝画像を掲載した。具体的には、原告のイラストの一部をトリミングし、「なまらわや」「レオラギ多めグッズ」との文字をイラストに重ね、男性キャラクターのシャツの色や髪の長さなどを変更した上、著作者名の表示をせずにウェブサイトに掲載した。 原告は、当該発信者に対して損害賠償請求を行うため、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、被告が保有する発信者の氏名・住所・電話番号・メールアドレスの開示を求めて本訴を提起した。 【争点】 本件の争点は、発信者による本件著作物の著作権(複製権・公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)の侵害が明らかであるか、また、原告に発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるかである。被告は、著作権侵害の事実を否認ないし争い、開示請求についても争った。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。 まず、証拠及び弁論の全趣旨から、原告がイラストレーターとして本件著作物を創作した事実を認定した。次に、本件画像について、発信者が原告に無断で本件著作物を複製した上で、「頭にフードを被り、前髪が目までかかった細身の若い男性が、流し目で右前方を見ている」という本件著作物の表現上の本質的特徴を維持しつつ、画像の一部をトリミングし、文字を重ね、色彩や髪の長さに変更を加え、著作者名を表示せずにウェブサイトに掲載したものと認定した。 これにより、本件画像の掲載が原告の著作権(複製権・公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)を侵害することは明らかであると判断した。また、原告が発信者に対する損害賠償請求を準備していることから、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると認めた。