AI概要
【事案の概要】 被告人は、東京都港区所在の大手企業のテレビCM枠買い付け等の業務に従事していた社員である。被告人は、インフォマーシャル(番組仕立てのCM)の制作費について成果物の確認がなされない社内体制の穴を悪用し、共犯者である媒体社の社員や代表取締役らと共謀の上、架空のインフォマーシャル制作費を被害会社から詐取する計画を立てた。 具体的な手口として、被告人は社内の経理ソフトに架空の制作費を計上し、共犯者らに虚偽の請求書を作成させた上で、被害会社が媒体支払・照合業務を委託していた会社の担当者を介して請求書を提出し、支払承認権者に正当な請求であると誤信させて送金を実行させた。この犯行は平成29年5月頃から令和元年7月頃までの約2年間にわたり、合計8件(振込回数は延べ十数回)繰り返され、被害総額は合計約3億5000万円に上った。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役6年に処し(求刑懲役7年)、未決勾留日数中100日を算入した。 量刑の理由として、裁判所はまず、被害総額が3億5000万円余りと極めて多額であり結果が重大であること、成果物の確認がなされない仕組みを悪用した巧妙かつ悪質な犯行態様であること、2年間にわたり繰り返された常習的な犯行であることを指摘した。さらに、被告人が本件各犯行を首謀し、共犯者らに架空請求を持ち掛けるなどしており、共犯者の中で最も重い責任を負うべき立場にあるとして、刑事責任の重大性を強調した。 他方、内部監査がきっかけとなったとはいえ被告人が自首していること、捜査・公判を通じて事実を素直に認めた上で反省と謝罪の言葉を述べていること、前科前歴がないことなど、被告人に有利な事情も考慮し、求刑から1年減じた懲役6年が相当と判断した。