AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社クラウン・クリエイティブ)は、カンガルーをモチーフとした図形と「KANGOL」の欧文字からなる商標について、第35類の衣類・履物・かばん類等の小売等役務を指定役務として商標登録出願をした。これに対し、特許庁は、同商標がカンゴール社(カンゴール・リミテッド)の所有する引用商標(「KANGOL」の標準文字、指定役務は帽子の小売等役務)と類似し、指定役務も類似するとして、商標法4条1項11号に該当するとの拒絶査定を行い、不服審判でも請求不成立の審決がなされた。原告は、2002年にカンゴール社との間で知的財産権の譲渡等に関する契約を締結し、帽子以外のファッション商品について「KANGOL」ブランドを継続的に使用してきた経緯があり、両者の間には取扱商品の棲み分けが確立されていると主張して、審決の取消しを求めた。 【争点】 本願商標と引用商標の類否、及び本願指定役務(衣類等の小売等役務)と引用指定役務(帽子の小売等役務)の類否が争点となった。特に、原告とカンゴール社との間の契約に基づく取扱商品の棲み分けという個別的な取引の実情を、商標の類否判断においてどの程度考慮すべきかが中心的な争点であった。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。まず商標の類否について、本願商標の図形部分と欧文字部分は視覚上分離して看取され、不可分的に結合しているとはいえないとして、「KANGOL」の欧文字部分を要部と認定した。その上で、本願商標の要部と引用商標は、外観が極めて類似し称呼(「カンゴール」)を共通にするから、出所の誤認混同を生ずるおそれがあるとした。次に指定役務の類否について、両役務はいずれも衣類を中心とするファッション商品を取扱商品とする小売等役務であり、役務提供の手段・目的・業種が共通し、ZOZOTOWN等の通信販売サイトで同一ブランドの衣類と帽子が一体的に販売されている実情も踏まえれば、需要者の範囲も一致し、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあるとして、役務の類似性を肯定した。原告が主張する取引の実情(カンゴール社との契約や棲み分け)については、あくまで原告とカンゴール社間の個別的な合意にすぎず、商標の類否判断で考慮すべき「一般的、恒常的な取引の実情」には当たらないと判示した。さらに、原告自身が本願商標を用いて帽子を販売している例も認められることから、棲み分けが需要者に認識されているとはいえないとして、原告の主張をすべて退けた。