詐欺,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律違反
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、自らが海外で成功した金融のプロであり莫大な資産を保有する資産家であると偽り、投資会社(丁社)の破綻危機に直面していた勧誘員らを次々と取り込んで甲株式会社を設立した。甲社では、被告人を「会長」「キング」とするピラミッド構造の組織を構築し、「1口100万円を預ければ毎月3%の配当を支払い、元本も保証する」との条件で全国の顧客から出資を募った。被告人は、実際には運用経験のないQを「敏腕トレーダー」として紹介し、6画面モニターを備えたトレーダールームに常駐させて運用を装わせるなど、巧妙な演出を施していた。しかし、受領金が株式投資等で運用されたことは一度もなく、新規顧客からの受領金を既存顧客への配当に充てる自転車操業であった。被告人は情を知らない甲社会員らを介して、平成28年7月から平成29年8月までの間、被害者8名から合計1億円をだまし取った詐欺と、業として預り金をした出資法違反で起訴された。 【争点】 本件の争点は、被告人が判示第1の詐欺行為の当時、詐欺の故意を有していたか否かである。弁護人は、被告人はシンガポール所在の丙社を証券取引所に上場させ、その上場益で顧客への元本返済を実現する計画があったと主張し、詐欺の故意を争った。また、被告人は甲社の「広告塔」に過ぎず、実質的支配者はE(社長)であったとも主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人の詐欺の故意を認定した。その理由として、(1)被告人がE夫妻を含む甲社会員らに対し、受領金をQのトレードや海外ヘッジファンドで運用する旨の虚偽及び自らの莫大な資産で元本・配当金の支払を担保できる旨の虚偽を繰り返し述べ、これを信じた会員らが顧客を勧誘していたこと、(2)受領金のうち配当金・手数料・経費を差し引いた残金は最終的に被告人の手に渡っていたこと、(3)被告人が甲社の最高権力者であり、社長選挙の結果を覆す権限やディレクターの任命権を有していたことを認定した。丙社上場計画については、具体性を欠き、台湾事業の失敗とも整合せず、捜査段階の供述から不自然に変遷していることから信用できないとした。量刑については、常習的・職業的犯行であり、全国規模で組織的に敢行された巧妙かつ大胆な犯行であること、被害額が1億円と多額で被害回復がほとんどなされていないこと、強い利欲的動機に基づくもので酌量の余地がないことから、被告人を懲役8年及び罰金200万円に処した(求刑:懲役10年及び罰金200万円)。