特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(一審原告)が、被控訴人(一審被告)JFEスチール株式会社に対し、被控訴人の製造・販売する製鋼スラグ炭酸固化体ブロックの製造方法が、控訴人の有する特許権(本件特許)の技術的範囲に属すると主張して、民法709条の不法行為に基づく損害賠償として、特許法102条3項により5000万円の支払を求めた事案の控訴審である。原審(東京地方裁判所)が控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴を提起した。なお、控訴審では請求額を1000万円に減縮している。製鋼スラグ炭酸固化体ブロックとは、製鉄過程で生じるスラグを炭酸固化して成形したブロックであり、海洋構造物等に利用される建設資材である。被控訴人は登録商標「マリンブロック」としてこの種の製品を製造・販売しており、控訴人は自己の特許に係る製造方法を被控訴人が侵害していると主張していた。 【争点】 主たる争点は、被控訴人の製品の製造方法(被控訴人方法)が、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に示された構成要件A~Iを充足するか否かである。控訴人は当審において、①被控訴人の特許(特許第5954237号)の発明の名称や用途が本件特許と類似していること、②被控訴人特許の登録が本件特許の約2年後であること、③本件特許の方が有用であること、④被控訴人製品は本件特許に係る製造方法で製造される製品の模造品であることなどを補充主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、控訴を棄却した。裁判所は、被控訴人による製品の製造等が控訴人に対する不法行為を構成するか否かは、被控訴人方法が本件特許の構成要件A~Iを充足するか否かによって判断されるべきであるとした上で、控訴人の補充主張はいずれもこの充足を認めるに足りないと判断した。具体的には、被控訴人特許に係る事情(名称・用途の類似性、登録時期等)は、被控訴人方法が本件特許の構成要件を充足することを基礎付けるものとはいえないとした。また、被控訴人製品が本件特許に係る製造方法で製造される製品と用途や特徴等において類似していたとしても、そのことから直ちに被控訴人方法が構成要件を充足するとはいえないことは明らかであると判示し、原判決を維持した。