商標権侵害差止請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「ふふふ」の平仮名文字から成る商標(指定役務:飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)の商標権を有する原告が、被告富山県及び被告株式会社JAライフ富山に対し、商標権侵害を理由として差止め・廃棄・損害賠償を求めた事案である。被告富山県は、平成28年度に米の新品種(Oryza sativa L.)を育成し、その名称を公募の上「富富富」(読み:ふふふ)と決定した。被告富山県は、平成29年3月の発表以降、「富富富」の文字を含む標章(被告標章1〜8)を使用して本件米の広告宣伝活動を行い、デザインマニュアル等を策定して使用を管理した。被告JAライフ富山は、本件米の玄米を搗精して精米にし、被告標章4等を付した米袋に詰めて販売した。原告は、被告標章1〜8が本件商標「ふふふ」と同一又は類似であるとして、商標法36条1項に基づく差止め、同条2項に基づく廃棄、及び不法行為に基づく損害賠償5850万円を請求した。 【争点】 主な争点は、(1)被告らが業として被告標章を商品及び小売等役務に使用しているか、(2)被告標章1〜8が本件商標「ふふふ」と同一又は類似のものであるか、(3)被告らによる標章の使用が商標的使用に当たるか(商標法26条6号)、(4)本件商標登録が無効審判により無効にされるべきか、(5)原告の請求が権利濫用に当たるか等である。特に中心的な争点は、被告標章と本件商標の類否判断であった。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず被告標章1(ふふふ)について、被告富山県も被告JAライフ富山も「ふふふ」を単独で標章として使用しておらず、常に漢字の「富富富」の読み仮名として一体的に使用していると認定した。次に、被告標章2〜4、7、8について、いずれも「富富富」の漢字部分が中心的な識別機能を有し、「ふふふ」の部分は読み仮名として識別機能が弱いと判断した。各被告標章と本件商標「ふふふ」を比較し、称呼(フフフ)において共通する場合があるとしても、外観において明らかに異なり、観念においても異なる(本件商標が軽く笑う声等の観念を生じるのに対し、被告標章は特定の観念を生じない)として、出所の誤認混同を生ずるおそれはないと判断した。被告標章5(♯fufufu!)及び6(FUFUFU)についても、使用態様に照らし本件米の品種名「富富富」の欧文字表記と理解されるとして、本件商標との類似性を否定した。以上から、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないとして棄却した。