運転免許取消処分取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(原告)が、東京都公安委員会から酒気帯び運転をしたとして運転免許の取消処分及び1年間の欠格期間指定処分を受けたことについて、酒気帯び運転の事実はないとしてそれらの取消しを求めた事案の控訴審である。被控訴人は飲酒後に車両を運転し、運転終了後約35分後に実施された呼気検査で呼気1リットルにつき0.16ミリグラムのアルコールが検出された。原審(東京地裁)は、運転時に呼気検査をすれば基準値(0.15mg/L)以上のアルコールが検出される状態であったとは認められないとして、取消処分を違法と判断し処分を取り消したため、東京都(控訴人)が控訴した。 【争点】 運転終了後の呼気検査で基準値以上のアルコールが検出された場合、運転時に道路交通法施行令44条の3所定の基準を超える「身体にアルコールを保有する状態」にあったと認定できるか。 【判旨】 控訴認容(原判決取消し、取消処分に係る請求棄却、欠格期間指定処分に係る訴え却下)。 裁判所は、道路交通法65条1項の酒気帯び運転禁止規定の沿革を詳細に検討した。昭和45年の法改正により、アルコールの程度を問わず身体にアルコールを保有する状態での運転が全面的に禁止され、処罰対象の明確化のために施行令で呼気1リットルにつき0.25ミリグラム(現行は0.15ミリグラム)等の基準が設けられた経緯を踏まえ、この基準値は「身体に保有するアルコール」の量の徴表としての数値であると解すべきとした。そのうえで、経口摂取されたアルコールの約95〜98%は消化管から吸収され全身に保有されること、追加摂取がなければ身体に保有するアルコール量は減少することはあっても増加することはないという医学的知見に基づき、被控訴人が運転終了後にアルコールを追加摂取しておらず、飲酒開始後約35分後の呼気検査で0.16mg/Lのアルコールが検出されている以上、運転時においても基準値を超えるアルコールを身体に保有した状態であったと認定した。したがって本件取消処分は適法であるとした。なお、欠格期間指定処分については、指定期間が既に満了しており、取消しにより回復すべき法律上の利益がないとして、訴えの利益を欠き不適法と判断した。