AI概要
【事案の概要】 パチンコ店チェーン「ベガスベガス」を全国33店舗展開する原告が、広島県・山口県を中心にパチンコ店を経営する被告ら(テキサスグループ3社)に対し、被告らが「VEGAS VEGAS」「ベガスベガス」等の標章を店舗看板やウェブサイトで使用したことが原告の登録商標権を侵害するとして、約8億5440万円の損害賠償等を求めた事案である。被告らは広島市の段原店(平成16年開店)及び山口県周南市の周南店(平成21年開店)で被告ら標章を使用していたが、原告の警告を受け、平成31年4月に使用を中止した。原告は主位的に不法行為に基づく損害賠償及び不当利得返還を、予備的に時効消滅分を不当利得として請求した。 【争点】 主な争点は、(1)原告各商標と被告ら標章の類否、(2)商標法2条3項8号の「使用」該当性、(3)先使用の抗弁の成否、(4)損害額であった。被告らは、標章の外観上の差異や取引の実情から類否を争うとともに、原告商標の出願前から被告ら標章を使用しており周知性を獲得していたとして先使用権(商標法32条1項)を主張した。損害額についても、パチンコ店の顧客吸引力は店名ではなく遊技機種やアクセスの容易さに依存するとして、原告各商標に顧客吸引力がないと主張した。 【判旨】 裁判所は、被告ら標章①〜⑫のいずれも原告各商標と類似すると認定した。「ベガス」はラスベガスの略称として辞書に掲載されており、「ベガスベガス」から「ラスベガス」の観念が生じるとして、称呼・観念の同一性を重視した。被告らが外観の相違を主張した点については、Vの字の図案化等の差異はわずかであるとした。商標法2条3項8号の「展示」については、標章を付して侵害状態が継続する限り「展示」に該当し、登録前からの不作為であっても同号に当たると判断した。先使用の抗弁については、段原店・周南店いずれについても、被告ら標章が原告商標の出願時に本件地域(広島県・山口県及び近隣県)の需要者の間で広く認識されていたとは認められないとして排斥した。損害額については、商標法38条3項に基づく使用料相当額として、本件各店舗の総売上高約652億円に対し使用料率0.15%を乗じ、時効消滅した不法行為分を不当利得として構成した上で、弁護士費用500万円を加えた合計1億0288万1588円を認容した。使用料率の算定に当たっては、パチンコ店の売上げにおいて店名の貢献が限定的であること、原告と被告らの営業地域が重なっていないこと、被告ら自身の営業努力の寄与が大きいこと等を考慮した。