AI概要
【事案の概要】 被告人は、2つの犯行で起訴された。第1の事件は、持続化給付金詐欺である。被告人は、氏名不詳者らと共謀の上、令和2年7月、個人事業者ではなく事業収入の減少もないのに、虚偽の情報を入力し、内容虚偽の確定申告書控え等を添付して持続化給付金の給付申請を行い、審査担当者を誤信させて100万円をだまし取った。第2の事件は、強盗致傷である。被告人は、暴力団関係者への借金返済のため金に困り、友人Fが多額の現金をバッグに入れて持ち歩いているとの情報を、同じく金に困っていた共犯者Eに提供し、Fから現金を奪うことを提案した。令和2年10月23日、Eが札幌市内のビル出入口通路でFの背後から抱き付いて投げ倒し、頭部や顔面を多数回殴る蹴るなどの暴行を加えて反抗を抑圧し、現金約100万6220円在中のクラッチバッグを奪い、加療約1週間の傷害を負わせた。 【争点】 第2の強盗致傷について、被告人がEとの間で、Fに抵抗できなくする程度の暴行を加えて金品を奪うことについて意思を通じ合っていたか否かが争われた。弁護人は、被告人には暴行を加えず単にFから金品を奪う認識しかなく、窃盗罪にとどまると主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、犯行前のEと被告人のテレグラム上のメッセージを詳細に検討した。被告人がEに対し「金玉蹴ったり、膝上蹴ったりしたっけ走れないから」と送信していたこと、Eから「半殺しにしていいの?」と聞かれて「してもいいけど」「それはEの自由」と返信していたこと、暴行を直接止めるメッセージが一切ないことなどから、バッグを取られることに抵抗できなくする暴行を加えることを前提としたやり取りであったと認定した。また、既に刑が確定して服役中のEの証言は信用でき、被告人の弁解は上記メッセージの内容に照らして不自然であるとして排斥した。以上から、被告人は強盗致傷の共謀共同正犯としての責任を負うと判断した。量刑については、犯行計画を隠してFを待ち伏せ・呼出しし、執拗で危険性の高い暴行を加えて多額の現金等を奪った点を重視し、被告人が犯行の提案・呼出しの発案・実行など主導的役割を果たしたことから、実行役Eと同等以上の責任があるとした。他方、傷害の程度が比較的軽く、現金が短時間でFに戻ったことを被告人に有利な事情として考慮し、被告人が21歳と若年で前科がないことも踏まえ、求刑懲役8年に対し、懲役6年を言い渡した。