AI概要
【事案の概要】 本件は、商標法50条に基づく不使用取消審判に関する審決取消訴訟である。原告(株式会社日本ソマティックライフ)は、被告が保有する登録商標について、指定役務における使用がないとして不使用取消審判を請求したが、特許庁は審判請求を棄却する審決をした。これに対し、原告が審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。 商標法50条の不使用取消審判とは、継続して3年以上日本国内で登録商標を指定商品・指定役務について使用していない場合に、第三者がその商標登録の取消しを請求できる制度である。商標権者が正当な理由なく長期間商標を使用しない場合、その商標を使用したい他の事業者の参入を不当に妨げることになるため、使用されていない商標の登録を取り消すことで商標制度の健全性を維持する趣旨に基づく。 本件の対象商標は、子育て支援に関するワークショップ事業に使用される「チャイルドスペースジャパン」及び「Child's Space Japan」の文字からなる商標であり、指定役務は「技芸・スポーツ又は知識の教授、セミナー・講習会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」であった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を認容し、審決を取り消した。 被告は、適式な呼出しを受けながら口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しなかったため、裁判所は、被告が原告の請求原因事実を争うことを明らかにしないものと認め、民事訴訟法159条1項に基づき擬制自白が成立したものとした。 擬制自白により認定された事実によれば、原告は、要証期間内である平成27年1月31日及び平成28年6月4日に、子育てに関する内容のワークショップを開催し、当該ワークショップにおいて本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む)を使用して役務の提供を行い、チラシを頒布したことが認められた。これにより、原告は要証期間内に指定役務について商標法2条3項8号に規定する商標の「使用」をしたと認定された。 以上から、原告主張の取消事由には理由があるとして、本件審決は取り消された。本件は、商標権者である被告が審決取消訴訟においても一切の防御活動を行わなかったことにより、擬制自白の成立を通じて原告の主張がそのまま認容された事案であり、審判段階の判断が覆された点に特徴がある。