損害賠償等請求(商標権侵害)事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 日本酒のラベル等の印刷・デザインを手がける原告(ヨツハシ株式会社)が、「夢」の標準文字からなる商標権(指定商品:日本酒)を有しているところ、酒類の製造販売を業とする被告(東薫酒造株式会社)が、「夢とまぼろしの物語」という商品名の日本酒に毛筆体の「夢」の文字を瓶のラベルや外箱に付して販売していた行為が商標権侵害に当たるとして、商標法36条1項・2項に基づく差止め・廃棄及び民法709条に基づく損害賠償500万円の支払を求めた事案である。被告は、商標の非類似、無効の抗弁(公序良俗違反・簡単ありふれた標章)、先使用権、権利濫用等を主張して争った。 【争点】 (1) 被告各標章と原告商標の類否(商標権侵害の成否)、(2) 無効の抗弁の成否(法4条1項7号・法3条1項5号)、(3) 先使用権の成否、(4) 権利濫用の成否、(5) 差止め等の必要性、(6) 損害額 【判旨】 一部認容(差止め・廃棄を認容、損害賠償83万7755円)。裁判所は、まず商標の類否について、被告各標章は毛筆体の「夢」1字で構成され、原告商標と称呼・観念が同一、外観も類似すると判断した。被告は「夢とまぼろしの物語」の商品名や武者の絵と一体であると主張したが、瓶のラベルと商品名等ラベルは相当程度の間隔があり分離観察が可能であるとして、被告各標章のみを原告商標と対比し類似性を認めた。無効の抗弁については、原告は日本酒ラベルの印刷業者として長年業務を行い商標管理にも合理性があるとして公序良俗違反を否定し、法3条1項5号違反は登録から5年の除斥期間経過を理由に排斥した。先使用権については、被告商品の販売地域は千葉県・東京都が中心で年間売上も少額であり、出願日時点での周知性が認められないとして否定した。権利濫用の主張も退けた。損害額については、原告自身は日本酒を製造販売していないため法38条2項の適用を否定し、法38条3項に基づきライセンス料相当額を算定した。原告が通常使用権者から得ていた印刷受注の利益実績等を基に料率を売上げの2%と認定し、被告商品の売上合計3688万7751円の2%である73万7755円に弁護士費用10万円を加えた83万7755円を損害として認めた。