AI概要
【事案の概要】 原告(ゲーム会社)は、「ゲームプログラム、ゲーム処理方法および情報処理装置」に関する特許出願(特願2017-92933号)について拒絶査定を受け、不服審判を請求したが、特許庁は審判請求不成立の審決をした。本件は、同審決の取消しを求める訴訟である。本願発明は、カードゲームにおいて、ユーザに付与された不要なアイテムを自動的にフィルタリング条件に基づき数値化し、所定個数の価値の等しい一種類の「特定のアイテム」に変換して「アイテムボックス」に記憶する機能に関するものである。審決は、本件補正が新規事項の追加に該当し特許法17条の2第3項の要件を満たさないこと、及び本願発明に進歩性がないことを理由として請求不成立としていた。 【争点】 (1) 補正要件違反(新規事項追加)の有無:本件補正で追加された「特定のアイテムを、ユーザに関連付けられたアイテムボックスに対応付けて記憶するアイテム記憶機能」が、当初明細書に記載された事項の範囲内か否か。 (2) 引用発明1(カード自動売却処理のゲームプログラム)及び引用発明2(成長アイテムの戦闘モード処理)に基づく進歩性の有無。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、取消事由1(新規事項追加)について、以下のとおり判断した。当初明細書において「アイテムボックス」に関する記載は段落【0051】のみであり、「不要なアイテムによりユーザのアイテムボックスが満杯になるのを防ぐことができる」との記載から、アイテムボックスにはアイテムの収納上限が設けられているものと認められる。一方、「特定のアイテム」は「上限なくユーザが所持可能とすることができる」ものであるところ、収納上限が設けられたアイテムボックスに特定のアイテムを収納すれば、上限なく所持することは不可能となる。したがって、当初明細書に接した当業者は、「特定のアイテム」をアイテムボックスに収納して保持するものとは理解しないと解される。原告は、段落【0051】の文理上アイテムの所持とアイテムボックスへの収納が関連していると主張したが、同段落は他アイテムによるアイテムボックスの満杯防止を記載するにとどまり、特定のアイテムの収納を記載しているとは読めない。また、「上限なく所持可能とすることができる」という記載は上限がある場合を包含するものではなく、付加的構成にすぎないとの主張も排斥された。以上から、新たな発明特定事項は当初明細書に記載された事項の範囲内とはいえず、本件補正は特許法17条の2第3項の要件を満たさないとした。この判断により、進歩性の争点を判断するまでもなく、審決に違法はないと結論づけた。