使用差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(渋川市)の職員として徳冨蘆花記念文学館に勤務していた控訴人が、同文学館に常設展示されている解説パネル、映像付き脚本朗読作品「不如帰」、展示ケース内の展示資料等(本件各展示物)について、自己が著作権及び著作者人格権を有すると主張し、被控訴人に対し、著作権等の帰属確認、展示等の差止め・撤去廃棄、並びに不法行為に基づく損害賠償又は不当利得返還として200万円の支払を求めた事案の控訴審である。原審(前橋地裁)は、本件各展示物は職務著作に当たり著作権は被控訴人に帰属すると判断して控訴人の請求を全部棄却したため、控訴人が控訴を提起するとともに、当審で不当利得返還請求を選択的に追加した。 【争点】 (1) 控訴人が本件各展示物の著作者か(職務著作の成否)。控訴人は、自ら著作権を有する図録(本件図録)と本件パネルは同一の著作物であり、図録に著作者として表示されている以上、パネルについても著作者と推定されると主張した。また、雇用前の平成元年3月22日以前に創作行為を終えており、職務著作には当たらないと主張した。 (2) 本件各展示物の利用による不当利得の成否。控訴人は、仮に職務著作であっても、被控訴人が控訴人の労務により法律上の原因なく利益を得ていると主張した。 (3) 損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の消滅時効の成否。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は原審の判断を維持し、以下のとおり判示した。 第一に、本件図録と本件パネルは同一の著作物ではないと認定した。両者は写真や文章等の素材が相当程度共通するものの異なる部分もあり、素材の配置にもそれぞれ特有の工夫がされているため、素材の選択及び配列のいずれについても同一とはいえないとした。著作権法15条1項に照らし、使用者の発意により従業員等が職務上作成した共通部分を有する複数の著作物のうち、職務著作に該当するものとそうでないものが生じることは法が予定しているとした。 第二に、本件各展示物の創作行為は控訴人が被控訴人に雇用された平成元年3月22日以降に行われたと認定した。編集著作物としての創作行為は、素材を具体的に選択し配置場所を決定する行為であり、控訴人自身も同年4月以降に資料選定や編集レイアウト等の作業をしたと主張しているところ、これらは創作行為そのものであるとした。仮に雇用前に一部の創作行為があったとしても、控訴人は勤務を申し入れ同年3月6日には採用が決まっていたことから、職務上作成したものと認められるとした。 第三に、不当利得返還請求については、控訴人は雇用契約に基づき本件各展示物を製作したのであるから、被控訴人の展示・上映には法律上の原因があるとして排斥した。