殺人,強盗殺人未遂被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1あ953
- 事件名
- 殺人,強盗殺人未遂被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2021年6月29日
- 裁判種別・結果
- 判決・棄却
- 裁判官
- 宮崎裕子、戸倉三郎、宇賀克也、林道晴、長嶺安政
- 原審裁判所
- 大阪高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 被告人は、平成19年12月、知人に対する多額の債務の返済を免れる目的で、知人にシアン化合物を服用させて殺害しようとしたが、全治不能の高次機能障害等の傷害を負わせたにとどまった(強盗殺人未遂)。さらに、平成24年3月から同25年12月までの間、遺産取得等の目的で、当時の夫や内縁の夫ら3名にシアン化合物を服用させて殺害した(殺人3件)。被告人は結婚相談所を利用して次々と高齢の被害者らと知り合い、将来を共にする相手あるいは多額の金を預ける相手として信頼させた上、その信頼に乗じて猛毒のシアン化合物入りカプセルを服用させるという手口で、約6年の間に同種の犯行を4回にわたり反復累行したものである。第1審は死刑を言い渡し、控訴審もこれを維持したため、被告人が上告した。 【争点】 弁護人は、死刑制度が憲法31条、34条、36条、98条2項に違反すると主張したほか、法令違反・事実誤認を主張した。 【判旨(量刑)】 最高裁第三小法廷は、裁判官全員一致の意見で上告を棄却した。死刑制度が憲法の上記各規定に違反しないことは判例上明らかであるとし、その余の主張も刑訴法405条の上告理由に当たらないとした。さらに付言として、本件の量刑判断について詳細に検討し、①被害者らの殺害により財産的利益を得ようとした動機に酌むべき点がないこと、②計画的かつ巧妙な態様であり強固な殺意に基づく冷酷な犯行であること、③約6年間に4回の同種犯行を反復累行し人命軽視の態度が顕著であること、④3名の生命を奪い1名に重篤な傷害を負わせた結果の重大性、⑤遺族らの厳しい処罰感情を指摘した上で、被告人の刑事責任は極めて重大であるとした。前科がないこと、高齢であることなど被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、死刑の科刑はやむを得ないものとして是認した。