株主総会議事録閲覧謄写請求事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1受2052
- 事件名
- 株主総会議事録閲覧謄写請求事件
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 裁判年月日
- 2021年7月5日
- 裁判種別・結果
- 判決・棄却
- 裁判官
- 菅野博之、三浦守、草野耕一
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 株式会社である上告人において、平成28年7月に臨時株主総会及び種類株主総会が開催され、普通株式及びA種種類株式のそれぞれ125万株を1株に併合する旨の決議がされた。被上告人は上告人の株式4万4400株を保有していたが、上記決議に反対し、会社法182条の4第1項に基づき、上告人に対して株式を公正な価格で買い取ることを請求した。被上告人と上告人の間で価格の協議が調わなかったため、被上告人は東京地方裁判所に株式の価格決定の申立てをした。上告人は、同法182条の5第5項に基づき、自らが公正な価格と認める額として1332万円を被上告人に支払った。その後、被上告人は、株式の価格の支払請求権を有する債権者に当たると主張して、会社法318条4項に基づき上告人の株主総会議事録の閲覧及び謄写を求めた。上告人は、既に公正価格相当額を支払済みであるから、被上告人は債権者に当たらないと争った。 【争点】 株式併合に反対して株式買取請求をした株主が、会社から会社法182条の5第5項に基づく支払(会社が公正な価格と認める額の支払)を受けた後も、同法318条4項にいう「債権者」に当たるか。 【判旨】 最高裁は、上告を棄却し、被上告人が債権者に当たるとした原審の判断を正当として是認した。その理由として、まず、反対株主が株式買取請求をした場合、会社との間で売買契約が成立したのと同様の法律関係が生じ、公正な価格の支払を求める権利を取得するため、同法318条4項にいう債権者に当たると解した。次に、株式の価格は当事者間の協議または裁判によって決定されるところ、株式買取請求制度の趣旨が反対株主に適切な対価の交付を確保して利益を保護することにあることからすれば、価格決定の裁判は裁判所の合理的な裁量によって価格を形成するものであるとした。そうすると、協議が調いまたは裁判が確定するまでは価格は未形成であり、会社による支払によって価格の支払請求権が全て消滅したとはいえないと判示した。さらに、同法318条4項の趣旨は、株主及び債権者が権利を適切に行使するために会社の情報を入手することを可能とし、その保護を図ることにあるところ、買取請求をした者は会社から支払を受けた後も、株式の価格が確定するまでは適切な対価の確保のために会社の情報を入手する必要性が失われないとした。以上から、株式買取請求をした者は、会社から同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても、株式の価格につき協議が調いまたは裁判が確定するまでは、同法318条4項にいう債権者に当たると判断した。