AI概要
【事案の概要】 本件は、「噴出ノズル管の製造方法並びにその方法により製造される噴出ノズル管」に関する特許(特許第4958194号)をめぐる長期の紛争である。原告X1は平成24年に本件特許の設定登録を受けたが、被告Yが「本件発明は自分が発明したものであり、原告X1が冒認出願したものである」として特許無効審判を請求した。特許庁は当初、審判不成立の審決(一次審決)をしたが、知財高裁は請求項1及び3について発明者が原告X1とは認められないとして一次審決を一部取り消す判決(一次判決)を言い渡し、同判決は最高裁の不受理決定を経て確定した。その後、特許庁は一次判決の拘束力に従い、請求項1及び3に係る特許を無効とする審決(二次審決)をし、これも知財高裁の棄却判決(二次判決)と最高裁の不受理決定を経て確定した。原告X1はさらに本件特許権の持分を原告X2に譲渡したうえ、二次審決に判断の遺脱(民訴法338条1項9号)があるとして再審請求をしたが、特許庁はこれを不適法として却下する審決(本件審決)をした。原告らが本件審決の取消しを求めたのが本件訴訟である。 【争点】 確定審決である二次審決に民訴法338条1項9号所定の「判断の遺脱」(再審事由)があるか否か。具体的には、原告らは、別件訴訟における証人Aの証言等から一次判決の証拠評価に誤りがあることが判明したとして、二次審決がこの点の判断を遺脱していると主張した。 【判旨】 知財高裁は原告らの請求を棄却した。まず、審決における判断の遺脱とは、審決の結論に影響を与える事項について当事者の攻撃防御方法への判断を審決の理由中に明記していない場合をいうと解した。そのうえで、二次審決は、確定した一次判決の拘束力(行訴法33条1項)に従い、本件発明1及び3の発明者が原告X1ではないと認定判断したものであり、当事者の主張した攻撃防御方法への判断に遺脱はないとした。さらに、特許無効審判の審決取消判決が確定した場合、再度の審理には取消判決の拘束力が及び、審判官は取消判決の認定判断に抵触する認定判断をすることが許されないことから、原告らの主張する再審事由は、実質的には確定した一次判決の認定判断の誤りを蒸し返すものにすぎず、9号事由には該当しないと判断した。別件訴訟におけるAの証言等に基づく主張についても、確定審決の判断遺脱には当たらないとして排斥した。