各非認定処分取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2行コ53
- 事件名
- 各非認定処分取消請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2021年7月9日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 永井裕之、惣脇美奈子、井川真志
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 学校法人である控訴人(原告)は、自らが設置する専門学校について視覚障害者以外の者を対象とするあん摩マッサージ指圧師の養成施設の認定を厚生労働大臣に、また設置する宝塚医療大学の鍼灸学科について同様の学校の認定を文部科学大臣にそれぞれ申請した。これに対し、両大臣は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(あはき法)附則19条1項(本件規定)に基づき、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするために必要があるとして、いずれの申請も認定しない旨の処分をした。控訴人は、本件規定が職業選択の自由(憲法22条1項)、適正手続の保障(憲法31条・13条)を侵害し違憲無効であるとして両処分の取消しを求めて提訴した。原審(大阪地裁)は控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人が控訴した。控訴審では、大学における学問の自由(憲法23条)及び教育を受ける権利(憲法26条1項)の侵害という主張が追加された。 【争点】 1. 本件規定が憲法22条1項(職業選択の自由)に反し無効であるか 2. 本件規定が憲法31条・13条(適正手続の保障)に反し無効であるか 3. 本件規定を適用して各処分をしたことが憲法22条1項等に反し違法であるか 4. 本件規定が憲法23条(学問の自由)・26条1項(教育を受ける権利)に反し無効であるか 5. 本件規定を適用して第2処分をしたことが憲法23条・26条1項に反し違法であるか 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、まず違憲審査基準について、養成施設等の新設認定は狭義の職業の自由に対する強力な制限であるから、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要するとした。そのうえで、本件規定の立法目的は経済的弱者である視覚障害者の職域保護という社会経済政策にあり、正当性が認められるとした。立法事実の存否については、制定から約55年が経過した現在でも、重度視覚障害者の職業としてあん摩マッサージ指圧師が大きな割合を占め、視覚障害者の収入が晴眼者より相当少ない状態が継続していることから、職域保護の必要性は失われていないと判断した。規制手段についても、晴眼者が既存の養成施設等で免許を取得すること自体は可能であり、他に検討された政策よりも職業選択の自由への制約が相対的に小さいことから合理性を認めた。医道審議会の中立性についても、視覚障害者団体の関係者が含まれることは利害関係者として当然であり、手続の公正さは担保されているとした。さらに、憲法23条・26条1項の主張についても、本件規定は大学における研究・教育そのものを禁止するものではないとして、いずれの違憲主張も排斥し、原判決を支持した。