損害賠償等請求控訴事件,同附帯控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 佐賀県鳥栖市立中学校の1年生であった一審原告Aが、同学年の生徒8名(一審被告生徒ら)から、平成24年4月の入学直後から同年10月までの約半年間にわたり、集団的かつ継続的ないじめ行為を受けた事案の控訴審(福岡高裁)である。いじめの内容は、教室内外での暴行(プロレス技、首ロック、エアガンでの射撃等)、カッターナイフを用いた脅迫、給食の横取り、さらには組織的な恐喝であった。金銭の喝取は入学直後から始まり、一審原告Aは自らの貯金や家族の金銭を持ち出すようになり、合計で相当額に上った。一審原告Aは、一審被告生徒ら(民法709条・719条1項)、その親権者である一審被告保護者ら15名(民法709条又は714条1項)、及び設置者である一審被告鳥栖市(国家賠償法1条1項)に対し、約1億1123万円の損害賠償等を請求した。一審原告Aの父母及び妹(一審原告家族)も固有の損害賠償を請求した。原審は一審被告生徒ら一部に対する請求のみを一部認容し、その余を棄却した。 【争点】 主な争点は、(1)一審被告生徒ら各人の不法行為及び共同不法行為の成否、(2)一審被告保護者らの監督義務違反の有無、(3)一審被告鳥栖市の安全配慮義務違反(国賠責任)の有無、(4)一審原告AのPTSD発症の有無と損害額、(5)一審原告家族の固有の損害の有無、(6)過失相殺の可否であった。 【判旨】 控訴審は、一審被告生徒らのうち5名(A・D・G・M・O)については、入学後から10月23日まで継続的にいじめ行為(暴行・嫌がらせ)を加えたと認定し、他の複数の生徒からも被害を受けていることを認識しながら自らも加害行為に及んだとして共同不法行為の成立を認め、損害全体について連帯責任を認めた。残り3名(J・R・U)は継続的な加害行為までは認められないが、個別の暴行(首ロック等)及び金銭受領について個別に不法行為責任を負うとした。金銭の喝取については、暴行等が加えられていた状況下で意に反して交付されたものと認定し、直接の脅迫がなくとも不法行為が成立するとした。一方、PTSDの発症は、複数の医師の意見を検討した上で診断基準該当性の検討が不十分として認めなかったが、精神症状の発症自体は認めた。一審被告保護者らについては、いずれも監督義務違反と損害との間の相当因果関係が認められないとして責任を否定した。一審被告鳥栖市についても、担任教諭がいじめを認識し又は認識し得たとは認められないとして国賠責任を否定した。過失相殺も否定した。損害額は、5名の共同不法行為に対する慰謝料300万円、付添看護費約34万円、弁護士費用34万円に、各生徒の金銭交付に係る財産的損害を加えた額とし、3名は各5万円の慰謝料と金銭交付分とした。一審原告家族の請求は全て棄却された。