AI概要
【事案の概要】 原告(ソフトウェア開発会社)は、「入力支援コンピュータプログラム、入力支援コンピュータシステム」に関する特許(特許第4611388号)の特許権者である。本件特許は、マウス等のポインティングデバイスによるデータ入力の際、命令ボタンが押されている間にポインタを移動させると操作メニュー情報を画面上に表示し、ポインタで指定することで命令を継続的に実行できるという入力支援技術に関するものである。 原告は、被告シャープが製造し被告KDDIが販売するスマートフォン5機種(SHV39〜SHV43)にインストールされた「AQUOS Home」アプリ(ホームアプリ)が本件特許権を侵害すると主張した。具体的には、同アプリにおいてショートカットアイコンをロングタッチ後にドラッグすると画面が縮小モードとなり、隣接ページの一部が表示される機能が、本件特許の構成要件を充足するとして、被告らに対し連帯して270万円の損害賠償を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)本件ホームアプリが「入力支援コンピュータプログラム」に該当するか、(2)被告製品が「ポインタ」を有するか、(3)被告製品のページ一部表示の画像が「操作メニュー情報」に該当するか、(4)乙13発明等に基づく新規性・進歩性の欠如の有無、(5)損害額であった。特に「操作メニュー情報」の該当性が中心的争点となった。 【判旨】 裁判所は、まず「操作メニュー情報」の意義について、特許請求の範囲及び明細書の記載から、「ポインタの座標位置によって実行される命令結果を利用者が理解できるように出力手段に表示するための画像データ」であり、利用者がその表示自体から実行される命令結果の内容を理解できるように構成されていることを要すると判断した。 その上で、被告製品のページ一部表示について検討し、同表示は縮小された中央ページの端に表示される幅の細い長方形にすぎず、文字・図形・記号・アイコン等は何も表示されないことから、利用者がその表示自体からどのような命令が実行されるかを理解することはできないとした。利用者がドラッグ操作でページ遷移を行うことがあるとしても、それは操作上の経験を通じて習得した結果にすぎないと認定した。 以上から、被告製品のページ一部表示は「操作メニュー情報」に該当せず、構成要件Bを充足しないとして、その余の争点を判断するまでもなく原告の請求をいずれも棄却した。