情報公開等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2行コ105
- 事件名
- 情報公開等請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2021年7月16日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 石原稚也、大場めぐみ
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、いわゆる森友学園問題に関連する情報公開請求訴訟の控訴審である。控訴人は、情報公開法4条1項に基づき、平成29年3月、近畿財務局長に対し、国有地の賃貸・売払いに関する森友学園との面談・交渉記録等の開示を請求した。近畿財務局長は同年5月に一部開示決定をしたが、開示された文書には217件の応接録(面談・交渉の記録)が含まれていなかった。 この217件の応接録は、平成29年2月に森友学園案件が国会審議で取り上げられた後、近畿財務局の管財部長の判断・指示により廃棄されたものであった。控訴人は、近畿財務局長が面談・交渉記録に係る部分を漫然と放置し、あるいは違法に不開示にしたと主張し、国家賠償法1条1項に基づき1100万円の損害賠償を求めた。原審(第一審)は33万円の慰謝料を認容したところ、控訴人がその敗訴部分の一部(333万円への増額)を不服として控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)本件処分において217件の文書が不開示処分とされたといえるか、(2)違法性の程度に照らし原審の認容額(33万円)が少額に過ぎないかの2点である。控訴人は、処分通知書に217件の文書に関する記載が一切ないことから不開示処分がされたとはいえず、個々の文書ごとに存否や廃棄の経緯を明らかにした上で違法性の程度を判断すべきであると主張した。また、国会審議で応接録の存否が問題となった以上、保存期間が「1年未満保存(事案終了まで)」であっても廃棄は許されず、廃棄された文書の数や悪質な行為態様に照らし、より高額の賠償が認められるべきであると主張した。 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、本件開示請求のうち面談・交渉記録に係る部分は、本件処分において文書不存在を理由に不開示とされたとみるのが自然かつ合理的であると判断した。情報公開法8条は行政文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否することも認めており、処分通知書に記載がないことから不開示処分がされていないとはいえないとした。 違法性の程度と賠償額について、裁判所は、近畿財務局の文書管理の実情が「極めて杜撰」であると厳しく指摘した。裁判所の釈明権行使に対しても、応接録を保管していた職員の数、廃棄が伝達された日、廃棄状況等がいずれも不明であるとの回答にとどまり、違法に不開示とされた文書の数等が明らかにされないこととなった。この点は慰謝料算定の一事情となるとした。しかし、217件の文書は遅ればせながら再処分時に開示されたこと、開示請求権が公益的見地から付与されていること、判決理由中で違法行為の内容が示されることにより国家賠償の制裁・抑止機能が果たされる面もあることを考慮し、原審の損害額(33万円)が少額に過ぎるとはいえないと結論づけた。