AI概要
【事案の概要】 金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)及び会社法違反(特別背任)で起訴され、保釈中であったD(海外渡航禁止・逃亡禁止の条件付き)の国外逃亡を手助けした犯人隠避の事案である。被告人A及び被告人Bは、共犯者Cと共謀の上、令和元年12月29日、Dの荷物を保釈制限住居付近のホテルまで運搬し、同所でDに着替え等の場所を提供した後、関西国際空港までDを護衛しつつ案内した。空港では、音響機材に見せかけた大型の箱の中にDを隠し、事前に手配していたプライベートジェット機に搭乗させ、保安検査場を通過させた上で日本国外に出国させた。Dはトルコ共和国を経由してレバノン共和国に渡航し、事件から1年半を経過した判決時点でも自主的に帰国する見込みはなく、Dに対する刑事裁判の実施見通しが全く立たない状態となっていた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件の結果として刑事司法作用の侵害の程度が極めて大きいと指摘した。犯行態様については、保安検査を回避しやすいプライベートジェット機の手配、音響機材を装った大型の箱の準備、ホテルの部屋の提供、空港までの護送と箱への隠匿という一連の行為が大掛かりかつ周到であり、高度に計画的な犯行であると認定した。動機については、被告人らがDから犯行前に合計約86万2500米ドルの送金を受けており、弁護人がDの評判向上業務の対価と主張した残額にも報酬の趣旨が含まれていたと認め、主として報酬目的であったと判断した。弁護人は、Dとの親戚関係やDから「日本で拷問を受けている」「保釈中の者を逃亡させても罪にならない」と聞いたことを指摘したが、親戚関係が近くないこと、説明を十分に確認しようとしていないことから、これらの事情は動機の認定を左右しないとした。役割については、被告人Aが準備段階から実行段階まで主導的な役割を果たし、被告人Bは被告人Aに比べて役割は小さいものの、ホテル客室の提供やカードキーの手渡し、荷物の運搬、送金の受領先の提供など、犯行の発覚を防ぐために不可欠かつ重要な役割を果たしたと評価した。被告人両名が公訴事実を認めて反省の態度を示していること、日本での前科がないことを考慮しつつも、米国での仮拘禁期間(約10か月)については、日本の法令に基づくものではなく未決勾留とは性質が異なるとして、考慮の程度には限度があるとした。以上を踏まえ、被告人Aを懲役2年(求刑懲役2年10月)、被告人Bを懲役1年8月(求刑懲役2年6月)の実刑とした。