AI概要
【事案の概要】 原告は、「グロービッシュ」(非ネイティブスピーカー向けの簡易英語)に関する商標(登録第5488946号)の商標権者である。この商標は、もともと原告の100%子会社であるリンガフランカ社が平成24年に設定登録を受けたもので、第41類「語学に関する知識の教授」等を指定役務としていた。リンガフランカ社は、グロービッシュ学習者向けのSNSサイト(本件サービス)やYouTubeチャンネル(本件チャンネル)を運営していたが、平成27年2月に解散し、同年5月に清算結了した。原告はリンガフランカ社から本件サービスの運営を引き継ぎ、令和元年10月に商標権の移転登録を受けた。被告は平成31年3月、本件商標の指定役務の一部について不使用取消審判を請求し、特許庁は商標登録を取り消す旨の審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に提訴した。 【争点】 審判請求の登録前3年間(平成28年3月18日から平成31年3月17日まで。以下「要証期間」)に、商標権者等が本件指定役務について本件商標を使用していたか否かが争われた。具体的には、(1)グロービッシュ学習者向けSNSサイト(本件サービス)における商標の使用が「語学に関する知識の教授」等の指定役務についての使用といえるか、(2)YouTubeチャンネルで公開されていた動画における商標の使用が指定役務に関する「広告」等に該当するか、が主な争点となった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。 まず本件サービスについて、裁判所は、要証期間経過後に印刷されたウェブページのみでは要証期間中の商標使用を立証できないとした。さらに、仮に要証期間中に商標が表示されていたとしても、本件サービスの実態は会員同士がSNS上で情報交換する場の提供にすぎず、使用言語をグロービッシュの基本1500単語に限定する機能があるとしても、主体的に知識の教授や教育研修を行っているとはいえないと判断した。グロービッシュの能力向上は単なる副次的効果にすぎず、「語学に関する知識の教授」等の指定役務には該当しないとした。 次に本件チャンネルについて、裁判所は、要証期間中に動画が視聴可能な状態にあったことは認めたものの、動画の内容がグロービッシュそのものの紹介にとどまり具体的な役務との関連性が不明確であること、また動画で案内されていたサービスが要証期間前に既に終了していたことから、いずれも商標法2条3項所定の「使用」又は商標的使用には該当しないと判断した。以上から、要証期間中に本件指定役務について本件商標が使用されたとは認められず、審決の判断に誤りはないとして、原告の請求を棄却した。