AI概要
【事案の概要】 本件は、「基礎コンクリート形成用型枠の支持具」に関する特許(特許第4446127号)について、原告(株式会社東海建商)が特許無効審判を請求したところ、特許庁が「審判の請求は成り立たない」との審決をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。本件特許は、住宅等の基礎コンクリートを「2度打ち」工法(ベース部を先に形成し、固化後に布基礎を打設する方法)で施工する際に、型枠が外側に開くことを防止するための支持具に関するものである。この支持具は、全体を薄板で形成し、型枠の側端面に当接される基部、型枠の外側角部・内側角部にそれぞれ係止される外側係止部・内側係止部、及びコンクリートに埋設されるアンカー部を備え、基部とアンカー部の間に折取部を設けた構成を特徴とする。被告(株式会社エヌ・エス・ピー)が特許権者である。 【争点】 主な争点は、(1)本件特許の特許請求の範囲がサポート要件(特許法36条6項1号)に違反するか、(2)本件発明が甲1発明(コンクリート型枠傾倒防止具)や甲2発明(段付き中間巾止め金具)等の先行技術に基づき進歩性を欠くかである。特にサポート要件については、支持具が型枠上で下方に移動した場合に課題を解決できないのではないかが問題となり、進歩性については、型枠の外側角部・内側角部に係止される外側係止部・内側係止部という構成(相違点1・B)の容易想到性が中心的な争点となった。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。 サポート要件違反の主張については、ベースコンクリートの打設時に支持具が一定程度移動することがあったとしても、コンクリート硬化後にアンカー部が埋設固定された状態で型枠を支持するという作用は働くものと解されるとし、作業員の靴等の接触で支持具が移動した場合も元の位置に戻すことは可能であるとして、サポート要件違反はないと判断した。 進歩性については、まず甲1発明を主引用例とする主張に対し、甲1発明の縦長外枠は「外側角部」に相当する構成を備えているとして審決の認定に一部誤りを認めつつも、甲1発明では貫通孔と連結具による取付手段が既に存在するため、それに加えて又はそれに代えて外側係止部・内側係止部を設ける動機付けはないとした。副引用例として主張された甲4技術(間隔保持具)及び甲5技術(型枠保持具)は、いずれも型枠同士の対向間隔を保持するものであり、2度打ち工法における型枠の外側への傾倒防止という本件発明・甲1発明の技術課題とは対象とする技術が異なるとして、組合せの動機付けを否定した。甲2発明を主引用例とする主張についても、相違点B(外側係止部・内側係止部)及び相違点C(アンカー部)の容易想到性は認められないとした。