AI概要
【事案の概要】 被告人は、大手企業(α株式会社)の技術開発部門において、プログラム作成等の業務委託に関する発注先業者の選定や代金額交渉を実質的に統括する担当課長の地位にあった。被告人は、平成29年7月頃から平成30年4月頃にかけて、約1年8か月の間に合計9回にわたり、自己の利益を図る目的で、発注先業者に対し、ドローン関連の試作機作成、映像メタデータ自動生成、AI活用FAQ自動生成、腐食監視システム、ホワイトボックスCPE開発など多岐にわたる業務委託契約において、正規の代金額に業務と無関係な電子機器の購入代金相当額や架空の再委託業務の契約代金を上乗せした金額で見積書を作成させ、水増しされた金額で業務委託契約を締結させた。被告人は、上乗せ分でiPad等の換金が容易な物品を購入させて自身の関係先に送付させた上、買取業者に売却し、得た資金を外貨に換えて秘密裏に保管していた。これにより、α株式会社に合計約2億1500万円の財産上の損害を与えた背任の事案である。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役3年の実刑(求刑懲役4年)に処した。量刑に当たり、裁判所は以下の事情を考慮した。 まず、被害額が合計2億1500万円余りと極めて高額であり、結果は誠に重大であるとした。犯行態様についても、契約金額に占める不正上乗せ額の割合が50パーセント以上に及ぶものが複数あり、全体としても約43パーセントに達していたこと、大企業の課長という立場を利用した巧妙な手口であったことから、背任の中でも悪質性が高い部類に入ると評価した。 他方、被告人と被害会社との間で損害賠償金の支払に関する合意書が交わされ、約1億625万円が既に弁償されていること、被告人が事実を認めて反省の態度を示し、残額についても働きながら弁償していく意向を示していること、前科前歴がないことなどを被告人に有利な事情として考慮した。しかし、これらの事情を十分考慮しても、結果の重大性、態様の悪質性、弁償未了額がなお約1億円に及ぶ状況等を勘案すると、被告人の刑責はなお相当に重いとして、実刑を免れないと判断した。