損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3ネ263
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2021年8月4日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 平田豊、中久保朱美、井出弘隆
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(原告)が、控訴人(被告)の経営するスーパーマーケット内で買物をした際、レジ前通路の床に落ちていた天ぷら(かぼちゃの天ぷら)を踏んで転倒し負傷した事故(本件事故)について、控訴人に対し、安全配慮義務違反の不法行為もしくは債務不履行による損害賠償請求、または土地工作物責任に基づく損害賠償として約122万円の支払を求めた事案である。本件事故は平成30年4月12日、平日の夕方の混雑する時間帯に発生した。天ぷらは縦横約13cm・10cmの比較的大きなもので、利用客が落としたものと認められたが、落下を現認した者はいなかった。原審は不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容し約57万円の支払を命じたため、控訴人が控訴し、被控訴人が附帯控訴した。 【争点】 スーパーマーケットのレジ前通路に利用客が落とした天ぷらを短時間放置させたことについて、店舗経営者に安全配慮義務違反(不法行為責任・債務不履行責任)または土地工作物責任が成立するか。 【判旨】 控訴審は、原判決を取り消し、被控訴人の請求を全部棄却した。その理由は以下のとおりである。まず、天ぷらを落としたのは店舗従業員ではなく利用客であり、利用客からの落下物の申告もなかったことから、本件天ぷらは事故に近接する時点に落ちた可能性が高く、少なくとも長時間放置されていたとは認められないとした。次に、消費者庁が発出した店舗内転倒事故に関する文書では、レジ付近の通路は落下物による転倒事故が発生しやすい場所として挙げられておらず、落下物による転倒事故は主に青果物売場等で想定されているにとどまることを指摘した。そして、レジ前通路は利用客から見通しがよく落下物に気付きやすい場所であること、レジ内の従業員からはレジ台等が死角となり通路の床を視認できない部分があること、混雑時にはレジ打ち作業に従事しながら落下物を速やかに発見・除去することは困難であったこと、品出し担当の従業員も混雑時にはレジ付近にいなかったこと等を総合し、レジ前通路に天ぷらのような商品を利用客が落とすことは通常想定し難いことから、あらかじめレジ前通路付近で落下物による転倒事故を想定して従業員に目視確認や巡回等の特段の措置を講じるべき法的義務があったとは認められないと判断した。土地工作物責任についても、店舗の設置・管理に瑕疵があったとは認められないとして否定した。