群馬の森追悼碑設置期間更新不許可処分取消等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 群馬県高崎市にある県立公園「群馬の森」には、戦時中に労務動員され群馬県内で死亡した朝鮮人を追悼する碑(「記憶 反省 そして友好」の追悼碑)が、都市公園法5条に基づく群馬県知事の許可を受けて平成16年に設置されていた。設置許可には「宗教的・政治的行事及び管理を行わないものとする」との条件(本件許可条件)が付されていた。追悼碑の管理団体である被控訴人は、設置期間(平成26年1月31日まで)の満了に先立ち更新申請をしたが、群馬県知事は、追悼碑前で行われた追悼式において「強制連行」の文言を含む政治的発言が繰り返されたことが本件許可条件に違反し、追悼碑が都市公園の効用を全うする機能を喪失したとして、更新不許可処分をした。被控訴人は、更新不許可処分の取消しと更新許可の義務付けを求めて提訴した。原審(前橋地裁)は、追悼碑が都市公園の効用を全うする機能を喪失したとはいえず、更新不許可処分は裁量権を逸脱した違法があるとして取消請求を認容したが、義務付け請求は棄却した。これに対し、群馬県(控訴人)が控訴し、被控訴人が附帯控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)本件許可条件が被控訴人の表現の自由を侵害し憲法21条1項に違反するか、(2)被控訴人が本件許可条件に違反したことにより追悼碑が都市公園法2条2項の「公園施設」に該当しなくなったか、(3)被控訴人に追悼碑を設置・管理する能力及び適性があるか、(4)更新不許可処分に裁量権の逸脱濫用があるか、であった。 【判旨】 東京高裁は、原判決を取り消し、被控訴人の取消請求を棄却し、義務付けの訴えを却下した。まず、本件許可条件について、都市公園法5条に基づく公園施設の設置許可は公園管理者以外の者に表現活動の場を設定するものではなく、追悼碑が公園敷地の一部を長期にわたり占有することから宗教的・政治的中立性を求めることには相応の理由があり、本件許可条件は憲法21条1項に違反しないと判断した。次に、追悼碑前で開催された追悼式において「強制連行」の文言を含む政治的発言が繰り返されたことにより、追悼碑は政治的争点に係る一方の主義主張と密接に関係する存在とみられるようになり、中立的性格を失ったと認定した。その結果、追悼碑は公園施設として存立する前提を失い、日韓・日朝の友好推進という設置の効用も損なわれたとして、都市公園法2条2項の「公園施設」に該当しなくなったと判断した。さらに、被控訴人が許可条件に違反して政治的行事を繰り返し行ったことは、追悼碑を設置・管理する能力及び適性を欠くことを示すものであり、法5条2項の許可要件も満たさないとした。以上から、更新不許可処分は適法であると結論づけた。