AI概要
【事案の概要】 信販会社である原告が、中古自動車販売会社(有限会社D)の代表者Cから依頼を受けていわゆる名義貸しに応じた被告ら(兄妹)に対し、オートクレジット契約に基づく求償金の支払を求めた事案である。被告Aは、Cの依頼で平成30年4月・10月・12月の3回にわたり実印及び印鑑証明カードをCに渡し、Cがこれを用いてオートクレジット契約書を作成した。被告Bも同様にCの依頼で実印等を渡し、2件のオートクレジット契約が締結された。Cは平成31年2月に死亡し、借入金の返済が滞ったため、原告が損保ジャパンに対し被告A分373万3069円、被告B分188万9888円を代位弁済した。原告は主位的にオートクレジット契約に基づく求償金を、予備的に共同不法行為に基づく損害賠償を請求した。 【争点】 (1) 各オートクレジット契約の成否(被告らは契約書はCが実印を冒用して偽造したものと主張) (2) 被告らによる割賦販売法35条の3の19第1項に基づく抗弁接続(支払停止の抗弁)の主張の可否 (3) 割賦販売法35条の3の13第1項に基づく不実告知による取消権の有無 (4) 予備的請求としての不法行為の成否 【判旨】 原告の主位的請求をいずれも認容した。 契約の成否について、被告Aに関しては、契約書の印影が被告Aの実印によるものであることは争いがなく、二段の推定が働くところ、被告Aは3回にわたりCに実印及び印鑑証明カードを渡しており、対象自動車や支払金額等の基本的事項すら確認せず、使途の限定も告げていなかったことから、実質的にCにオートクレジット契約締結についての抽象的・包括的な権限を授与していたと認定し、Cによる冒用との主張を排斥した。被告Bについても、追加契約の締結を承諾し、原告担当者の電話確認にも肯定的に回答していた経緯等から、契約は被告Bの意思に基づくものと認定した。 抗弁接続の主張については、被告らはいずれも売買契約が架空であることを認識しながら名義貸しを承諾し、被告Aは3回にわたり名義貸しに応じ、被告Bは原告担当者の不正確認に対し虚偽回答をしていたことから、このような経緯の下での抗弁権の接続は割賦販売法の立法趣旨に沿わないとして、信義則上許されないと判断した。被告らが主張した原告側の調査義務違反(車両価格の異常な高額性、電話確認の不備、与信調査の不十分さ)についても、いずれも排斥した。 不実告知に基づく取消権の主張については、被告Aは契約内容を具体的に確認せず包括的権限を授与していたこと、被告BについてもCの説明が不実告知に該当するとまではいえないとして、いずれも認めなかった。