意匠権侵害差止等請求事
判決データ
AI概要
【事案の概要】 ヘアキャッチャー(排水口に設置して髪の毛等を捕捉する製品)の意匠権を有する原告が、被告に対し、被告製品の販売等が原告の意匠権を侵害すると主張して、意匠法37条1項に基づく差止め、同条2項に基づく廃棄、及び民法709条に基づく損害賠償金726万円の支払いを求めた事案である。原告の意匠は、中心の円形捕捉部、その外側の渦流生成部(6個の斜面体で構成)、さらに外側の円環状フランジ部からなるものであった。被告は100円均一商品等の販売を業とする会社で、「おふろのまとまる排水口カバー」の名称で被告製品を製造販売していた。 【争点】 主たる争点は、被告意匠が本件意匠と類似するか否かであった。原告は、両意匠とも渦状の複数の斜面部を備え、水が渦巻きのように中央に流れるという美感が共通するとして類似を主張した。被告は、本件意匠の基本的構成態様は公知意匠にみられるありふれた形態であり、要部は渦流生成部の具体的構成にあるとし、被告意匠は4個の斜面体と堰部により本件意匠とは異なるダイナミックな渦の印象を与えるとして非類似を主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件意匠と被告意匠の基本的構成態様(全体が円形灰皿状で、捕捉部・渦流生成部・フランジ部で構成される点等)は一致するものの、これらは出願前の公知意匠にみられるありふれた形態であり、類否判断で大きく取り扱うことは相当でないと判断した。本件意匠において需要者の注意を引くべき形状は、渦流生成部を形成する斜面体が段差構造のみによって境界を形成し、斜面体を区切る構造体がないという点を含む渦流生成部及び捕捉部の全体の形状であるとした。その上で、差異点1(被告意匠には本件意匠にない堰部が斜面体外周部に形成されており、堰部によって各斜面体が明確に区別され、斜面体と堰部それぞれによって二重の明確な渦状模様を生じさせる印象を与える点)が類否判断に大きく影響すると認定した。また、差異点4(被告意匠には本件意匠にない整流体が捕捉部中心に膨出形成されている点)も一定の影響を及ぼすとした。これらの差異点から受ける印象が共通点から受ける印象を凌駕するとして、被告意匠は本件意匠に類似していないと結論づけ、原告の請求をいずれも棄却した。