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【事案の概要】 包装用積層フィルムに関する特許(特許第6422064号)の特許権者である原告が、化粧品販売会社である被告に対し、被告が販売するシートマスク製品の包装袋が本件特許権を侵害すると主張して、特許法102条3項に基づく損害賠償として300万円の支払を求めた事案である。本件特許は、表層の基材フィルムに絵柄の印刷を施し、絵柄に対応した略円形又は略四角形のミシン目等を設け、印刷面側にシーラント層を積層して、非シール部のミシン目等が開封により取出口になる包装袋に関するものである。 【争点】 (1) 被告包装袋が本件各発明の技術的範囲に属するか(構成要件Bの「絵柄に対応した」の意義、構成要件Cの「シーラント層」の意義) (2) 本件特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(サポート要件違反、乙14製品・乙25発明による新規性欠如、乙35発明等による進歩性欠如) (3) 損害の発生及びその額 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず構成要件Bの「絵柄に対応した」について、字義どおり絵柄とミシン目が一定の位置関係にあることを意味すると解釈し、被告包装袋の円弧状の細線や矢印とミシン目は一定の位置関係にあるから充足すると判断した。被告は光電管マークで位置合わせしており絵柄自体を基準としていないと主張したが、「絵柄に対応した」は位置合わせの基準を限定するものではないとして退けた。次に構成要件Cの「シーラント層」について、特許請求の範囲の文言上、ミシン目等が設けられるのは基材フィルムであり、シーラント層にはミシン目等は設けられていないと解するのが自然であるとした。本件明細書の背景技術、発明の特徴、全実施例においても、ミシン目又は溝が積層フィルムの全層を貫通する例は開示されておらず、シーラント層は密封性のある層であると解するのが相当と判断した。被告包装袋はミシン目等が積層フィルムの全層を貫通するよう加工されており、シーラント層の密封性を有していないため、構成要件Cを充足しないとした。さらに裁判所は、仮に技術的範囲に属するとしても、本件特許は新規性が欠如していると判断した。出願前に販売されていた「おしりふきタオル」(乙14製品)について各構成要件との対比を行い、乙14製品のCPP層は密封性を維持するシーラント層としての機能を有し、本件各発明と同一であると認定した。よって、本件特許は無効にされるべきものであり、原告は特許権を行使できないとして、請求を棄却した。