文書非公開決定取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 A市の住民である原告が、A市情報公開条例に基づき、株式会社B(和菓子・洋菓子の製造販売会社)がA市長に提出した納税証明書交付申請書の公開を2度にわたり請求したところ、A市長から証明書種類欄・使用目的欄・代表者印欄等を非公開とする情報部分公開決定(本件各処分)を受けた。原告は、公開すべき部分を非公開としたことは違法であり知る権利が侵害されたと主張し、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料等100万円の支払を求めた。背景として、被告(A市)が所有していた建物(旧家電量販店)の売却をめぐり、複数回の一般競争入札等が不調に終わった後、公募型プロポーザル方式で株式会社Bのみが参加して売買契約が締結されたという経緯があり、原告は市民オンブズマンとしてこの売却の適正性を監視する活動をしていた。 【争点】 1. 本件各処分において証明書種類欄・使用目的欄・代表者印欄を非公開としたことの国家賠償法上の違法性 2. 損害の発生及び数額 【判旨】 裁判所は、一部認容・一部棄却の判断を示した(認容額11万円)。 証明書種類欄・使用目的欄について、条例6条2号の法人等利益侵害情報に該当するには、情報が公開されることにより法人の競争上の地位その他正当な利益が害される蓋然性が客観的に認められることが必要であるとした上で、本件処分1の時点で既に売買契約は締結・公表されており、株式会社Bの本店移転意向も公表済みであったことから、これらの欄を公開しても同社の競争上の地位や事業活動に重大な影響を及ぼす蓋然性は認められず、非公開情報には該当しないと判断した。さらに、A市長は本件建物売却の経緯を十分把握しており、非公開情報に該当しないことが明らかな状況を認識し得たにもかかわらず漫然と非公開決定をしたものであり、国家賠償法上の違法及び過失があるとした。 他方、代表者印欄については、印影の偽造等の犯罪に利用されるおそれがあり、条例6条7号の公共安全情報に該当するとして、非公開としたことは適法と判断した。 損害額については、約1年4か月にわたり知る権利が侵害されたことによる精神的損害の慰謝料10万円及び弁護士費用1万円の合計11万円を認容した。