AI概要
【事案の概要】 原告は、「福米」(標準文字)を第30類「米」を指定商品として商標登録していたところ、被告が商標法50条1項に基づく不使用取消審判を請求した。特許庁は、原告が審判請求の登録前3年以内(要証期間内)に本件商標を使用していた事実を証明したとは認められないとして、本件商標の登録を取り消す旨の審決をした。原告は、自らが代表取締役を務める桂ヶ丘開発株式会社が運営するゴルフ場のクラブハウスにおいて、「福米2018」と表示されたステッカーを貼付した米袋を利用者に販売しており、本件商標の使用があったと主張して審決の取消しを求めた。 【争点】 主な争点は、(1)要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標が指定商品「米」について使用されていたか、(2)桂ヶ丘開発が本件商標の通常使用権者に当たるか、(3)販売の事実を裏付ける各証拠(写真の撮影日、精算書控え等)の信用性である。被告は、写真の撮影日の客観的裏付けがないこと、精算書が審判段階で提出されず訴訟で初めて提出されたこと、原告の主張が審判段階と矛盾することなどを指摘して証拠の信用性を争った。 【判旨】 裁判所は、本件審決を取り消した。まず、写真の画像データのプロパティに記録された撮影日時や、写真に写された価格表の「期間限定」「2018年11月末日までの限定価格。」との表示内容に照らし、撮影日は2018年11月14日であると認定した。次に、桂ヶ丘開発作成名義の精算書控え等について、利用者の氏名、お客様番号、日時、精算項目欄に「福米(5kg)」等の記載があり、その体裁に不自然な点はないとして信用性を認めた。被告が提出した令和3年6月20日付の精算書に「福米」の記載がない点については、販売時期・単価が異なる別商品であるとして、信用性を左右しないと判断した。これらの証拠を総合し、桂ヶ丘開発が要証期間内に6回にわたりゴルフ場利用者に「福米2018」を販売した事実を認定した。通常使用権の有無については、原告が桂ヶ丘開発の代表取締役であり、本件ステッカーには商標登録証が表示されていることなどから、原告は桂ヶ丘開発に対し本件商標の使用を黙示的に許諾していたと認め、桂ヶ丘開発は通常使用権者であると判断した。