特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「情報通信ユニット」とする特許(特許第5894635号)の特許権者である原告(因幡電機産業株式会社)が、被告(FXC株式会社)の製造・販売する壁面埋込型無線LANアクセスポイント製品4種(被告製品1〜4)が本件特許の技術的範囲に属し、その製造・販売等が特許権を侵害するとして、被告に対し、製造等の差止め及び製品の廃棄並びに損害賠償を求めた事案である。本件特許は、壁面のコンセント部に埋設状態で設置可能な情報通信ユニットにおいて、JIS規格に準拠した標準的なコンセントカバーの取付け窓という大きさの制約がある中で、複数のアンテナ素子をケーシング内壁面に沿う板状に形成し、内挿部の互いに異なる内壁面において離間配置することで、送受信波の相互干渉を抑制する技術に関するものである。 【争点】 (1) 各被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(特に「表示面部」及び「内挿部」の解釈と構成要件C-1、C-2、D-2の充足性)、(2) 乙13文献(特開2004-15731号)に基づく新規性・進歩性欠如の無効理由の有無、(3) 乙14文献等に基づく新規性欠如の無効理由の有無、(4) 損害額(特許法102条2項・3項)。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を大部分認容し、約2億1966万円の損害賠償等を命じた。争点(1)について、「表示面部」とはコンセント部から外部(室内側)に露出しているケーシングの正面を形成する板状の部位をいい、「内挿部」とは表示面部の外縁部から設置面方向に連続して伸び出しコンセント部の内側に挿入されている部位をいうと解釈した。被告はケーシングのうち壁面から露出する立方体状部分全体が「表示面部」であり、「内挿部」はコンセント部に埋設された部分のみを指すと主張したが、特許請求の範囲の文言及び明細書の記載に照らし採用できないとした。この解釈に基づき、各被告製品はいずれも本件発明1の技術的範囲に属し、被告製品2〜4は本件発明2の、被告製品2及び3は本件発明3の技術的範囲にも属すると判断した。争点(2)(3)の無効の抗弁については、乙13発明との間に内挿部の構成等で少なくとも3つの相違点があり、動機付けも認められないとして新規性・進歩性の欠如をいずれも否定した。損害額については、特許法102条2項に基づき被告の利益額から推定し、競合製品(エレコム社製品)の存在を唯一の覆滅事由として5%の覆滅を認めたにとどめ、被告主張の消費税控除・在庫評価損控除・過失相殺等はいずれも排斥した。弁護士費用は逸失利益の1割を認容した。