AI概要
【事案の概要】 原告(アテナ工業株式会社)は、「電子レンジ加熱食品用容器」に関する特許(特許第6495356号)を有していたところ、特許異議の申立てを受け、特許庁が令和2年12月24日付けで本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消す旨の決定をした。本件発明は、電子レンジ加熱用の蓋嵌合容器において、蓋面部にレーザー光線照射により形成した複数の排気長孔からなる排気長孔群を設け、排気長孔の幅を0.15〜1.0mm、長さを1〜12mm、開孔面積の合計を0.3〜100mm²とすることで、被覆・包皮部材を用いずに水蒸気の排気と異物混入防止を同時に実現するものである。原告は、本件決定の取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。 【争点】 ①特許法120条の5(意見書の提出等)違反の有無:本件決定が取消理由通知書に引用されていなかった文献(甲3、甲9、甲10)を用いたことが手続違背に当たるか。②進歩性の有無:引用発明(甲1・電子レンジ用即席食品入り容器)及び周知技術に基づき、本件発明1及び2の構成に容易に想到し得たか。原告は、排気の課題と異物混入抑制の課題を排気長孔群という一つの構成で同時に解決する点に本件発明の技術的本質があり、引用発明とは解決課題及び技術思想が異なると主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。取消事由1について、甲3は取消理由通知書で既に示されていた周知事項の補充的な例として挙げられたものにすぎず、甲9及び10も原告の意見書に対する反論として挙げられたものであって取消理由に新たな事項を加えるものではないとして、手続違背を否定した。取消事由2について、裁判所は、引用発明が即席食品入り容器であり食品を一定期間保存することを予定したものである以上、異物混入抑制の課題は当業者が当然に認識するものであると判断した。その上で、引用発明における小孔の形状・大きさ等を任意に設定できるとの示唆があること、孔を群として配置すること・矩形の孔をレーザーで形成すること・幅1mm以下で虫の侵入を防止できることがいずれも従来周知であること等を踏まえ、相違点1及び2に係る本件発明の構成は当業者が容易に想到し得たものであり、本件発明の作用効果も予測を超えた顕著なものとは認められないとして、進歩性を否定した本件決定の判断に誤りはないと結論付けた。